フェイク
相場には、フェイク(ダマし)がつきものです。
中央銀行に成りすますフェイクも
一番フェイクが効果的なのは、マーケットのポジションが一方に大きく偏っているときに出されるトレード。アゲンスト(不利)なウワサや観測記事(憶測記事)によって、一気にポジションは切らされます。
他愛もないようなウワサでも、ポジションが大きく偏っていると、あっけなくポジションを切らされることになります。
最近は、財務省・日銀による為替介入(※)がないので知らない人も多いと思いますが、介入があった頃は「なんちゃって介入」というフェイクが頻繁に出ていました。
※介入とは:為替相場に一定の影響を与えるために市場において行う取引。
※財務省・日銀による為替介入:よく日銀の介入と言いますが、財務省が介入をするかどうかの意思決定をしており、その財務省の指示に従って、実際に市場に介入をするのが日本銀行です。つまり、日本銀行は実行部隊です。「政府(財務省)・日銀による介入」という言い方が正式です。
しかし、ホットラインがつながっているのは一部の大手銀行だけですので、他の銀行は急上昇する値動きによって日銀が介入していることを知り、買いに参加します。
ところが、これを悪用する輩がいたのです。
まるで日銀が入っているかのように買い上げて、他の銀行がそれを日銀と見て買い上げてくるところを利食う。いつからかそんなことをやるようになり、これを「なんちゃって介入」と呼ぶようになりました。
これが、東京タイムの最も派手なフェイクと言えると思います。
生き残りを賭けたフェイク
フェイクは、もっと日常的なトレーディングにもあります。
たとえば、顧客から5億ドルという巨額のツーウェイプライス(売値と買値を同時に相手に提示する価格表示法)を求められた場合、顧客が買ってきたとすると、そのままマーケットで買うと、値(価格)が急上昇してしまいます。
バンクディーラーのトレーディングは金額が大きいため、10銭上がってしまったら5千万円、1円上がったら5億円が飛びます。
ですので、ブローカー(仲介業者)を通じて、買うところを逆に売ってマーケットに売りが出たと勘違いさせて、皆が売りに回ってきたところを大きく買います。
「マーケットに売りが出た」と勘違いさせるのも、よく見られるフェイクです。
投資の厳しい生存競争の中、生き残るためにはフェイクも致し方ないこと。一概にフェイクが悪いとも言えません。要は、ダマされない、ダマされても立ち直れるように、自分の経験度や技量を高めていくことが大切です。
そして、大きな急変動を伴っている相場付きの場合には、我先にと飛びつかずジックリ静観して見ることも重要です。
記事のまとめ
- マーケットのポジションが大きく一方に偏っていると、他愛もないことでフェイクにやられる
- 中には、中央銀行に成りすますようなフェイクもある
- ただし、インターバンクディーラーが自己防衛のためにするフェイクもある
- フェイクにダマされても、立ち直れる、経験度や技量、慎重さを持つことが必要