マーケットは、初心者用・中級者用・上級者用といった区別はされていません。
同じマーケットの中に、中央銀行・民間銀行・一般企業・機関投資家・個人投資家などが大小に関わらず共生しており、生存競争があります。
ただしこの生存競争というのは「大きい方が強く、小さい方は生き残れない」というものでもありません。
要は、規模が小さくても、創意工夫によって生き残ることは可能なのです。
相場の格言に、「相場に連れを作らず」というものがあります。仲間とつるんでやって、良い結果になった例はないという意味です。
また別の格言に、「人の行く裏に道あり花の山」というものがあります。皆が行こうとする方向の逆方向に、本当の利益の山があるとでも言えば良いでしょうか。
つまり、人とは違うことをすることで、収益の獲得チャンスがあるということです。
もちろん、それは単に逆張りをすればいいということではなく、創意工夫が必要です。具体的に、創意工夫の実例をいくつかご紹介します。
実は、私の同僚がこんなことをしていました。
彼は、ロイター通信から送られてくるニュースの内容を毎日くまなく読み、その中から「千に三つ」と言われるほどの非常にレアな情報を見つけては、相場を張って利益を出していました。
これはスパイの情報収集に似ていて地味で忍耐の要る作業ですが、逆に考えれば「千に三つは貴重な情報を得られる」ということなので効率が良いとも言えます。
また、こんな例もあります。
そのトレーダーがトレードする時間帯は、日本時間午前3時から9時まで。要はニューヨークローズが迫ってくる時間帯から東京オープンまで、
結構一方向の動きが出やすいとしてやっていました。
私自身が実践しているのは、相場が本格化する時間帯です。
たとえば、東京オープン午前9時~10時や、午後4時30分頃から本格化するロンドンマーケット。午後11時前後から本格化するニューヨークマーケットといった、相場が一方向に動きやすい時間帯に、順張りで相場に乗るようにしています。
一方、5日や10日といった切りが良い、いわゆる5・10日(ゴトウビ)の午前10時頃の仲値決めでは輸入決済のドル買いが集中するため、ドル/円が上昇しやすいといった特性も、実際に役立ちます。
世の中にはいろいろなテクニカル分析がありますが、RSIにしてもストキャスティクスにしてもMACDにしても、それらの初期設定は、ここ30年間変わっていません。
- RSI:「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を数値化した指数
- ストキャスティクス:「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断する指標。RSIとは、アプローチが違う
- MACD:トレンドの方向性を見る指標
初期設定のまま30年間も使い続けられ一般化したものなので、やはり個々にカスタマイズする(利用者の必要や好みに合わせて設定変更する)必要があります。
要は、情報収集にしてもマーケットの特性を知るにしても、そこに「創意工夫がなされると独自性が出てくる」ということです。
この独自性を持つことが、大事だと言えます。