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【第3回】マーケットの確信の怖さ

相場は、多くのマーケット参加者が、売りなり買いなり、一方に確信をもった時、逆行(逆の動き)を始めることが多くあります。 その実例を挙げて解説してみましょう。

7月19日、日本時間午前3時台に、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、早期利下げを強く示唆したことから、FRBが大幅利下げ(0.5%)に踏み切るとの思惑が強まり、ドル/円は急落し、107.21円をつけました。 こうして、ドルの先安観(将来さらに安くなるだろうという見方)が強まりました。

問題は、ここからです。

ウィリアムズ総裁の発言直後の急落時には、下げが早すぎてろくろく売れません。マーケットの多くの参加者が実際に売り始めるのは、実は下げ止まってからです。しかも、安値を売るのは躊躇され、戻り(反発時)を待って売ろうとします。

19日午前7時台に発言の否定報道も出ましたが、マーケットの動きは、むしろ売り場(売るチャンス)となりました。

ただし、ここまでをポジション(持ち高)の変化から説明しますと、ウィリアムズ発言で急落をしたということは、既に第1回でお話ししましたように、ロング(買い持ち)のポジションの投げ(損失覚悟の売り)によって起こった急落です。 ですから、ポジションの変化は、まずロング(買い持ち)からほぼスクエア(ポジション無し)になりました。

しかし、多くのマーケット参加者は、戻りを狙って売り始めました。 これをポジション(持ち高)の変化から言えば、ほぼスクエア(ポジション無し)からショート(売り持ち)になって行きます。 一旦下げ止まった動きから、ショート(売り持ち)にポジションが偏ると、下がりづらくなります。また、むしろ下がらない為に、あきらめて買い戻すマーケット参加者が出てきます。結果として、ジリジリと値を上げて行きます。

もう少し解説をしますと、マーケットのポジション(全体の動き)が既にショート(売り持ち)になっていてるため、実際の為替相場が動かなくても近い将来の買戻し要因になるため、ジリジリと上がりやすくなります。

ちなみに、新規の売りばかりが出れば下がる動きが中心になりますが、現実的にはマーケットポジション(全体の動き)が売り方なので、利益が出難いので戻りを待って仕掛ける事が一般的となります。結果的にショートカバー(売り方の買戻し)が出易くなります。 (こういった動きは投機筋(これが大勢)の話ですが、投機筋の宿命としては、売ったら利食いか・損切りのために近い将来買い戻さなければならないし、買えば利食いか損切りのために近い将来売り戻さなければならないという事になります。)

しかし、より高い水準になると、また新たなマーケット参加者が売ってきますので、またショート(売り持ち)が増えます。 このような事を延々と繰り返すと、ショート(売り持ち)のポジションが膨らんでいき、それでも下がらないと大き目の買戻しが起こります。

また、ロンドン勢※のように、マーケットのポジション(全体の動き)の変化を執念深く追いかけている投機筋に、マーケットポジション(全体の動き)がショートと気付かれれば、強引に買い上げてきて、ショート(売り持ち)を損切らせようとする行動が起こり、これによって相場が上昇することもあります。 ※ロンドン勢:ロンドンの投機筋

この買い上げでショート(売り持ち)を切らせようとすることを、ショートスクイズ※と一般的には呼ばれています。 ※ショートスクイズ:例えば、ショート(売り)ポジションが多く観測されている時に、相場を買い上げてギブアップさせて損切り決済させること

今回の場合、108.00円近辺で日本の生命保険会社のような機関投資家が大きく売っていたため、上昇はいったんストップし、108.00円近辺が抑えられたカタチになりました。 そのため、まだ多くのマーケット参加者がショート(売り持ち)であったために、その売りを頼って買い戻さなくなり、さらに新たにショートも出来上がってしまいました。

そこにまたショートスクイズが入り、しっかりと108.00円台に乗せてきます。 こうなると、今までショート(売り持ち)で頑張っていた多くのマーケット参加者も諦め、買戻し(売っていたものを買い戻す)が集中し、上げ足を速める(上昇が速まる)こととなりました。

このチャートを全体的に見ますと、ウィリアムズ発言で急落し下げ止まって以降は、右肩上がりの線を描いていることがお分かり頂けると思います。 こうした右肩上がりの線を見たら、マーケットのポジション(全体の動き)は、ショート(売り持ち)になっていると自覚し、ショート(売り持ち)では入らず、むしろ押し目買い(下がったところを買う)狙いで入ることが賢明かと思います。

チャートを見て、マーケットがいったん売りと確信してしまうと、なかなかその思考から離れられないこともわかるかと思います。 違うと思ったら、止める勇気を持つことが大事です。

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※2:ファイナンス・マグネイト社調べ(2012年1月~2018年12月)

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