今回も日本勢不在を狙った年末年始相場
ドル/円 1時間足
12月30日は、年末のポジション調整で売られ、久々に109円台から108円台に軟化しました。
翌31日も緩やかに下げていましたが、トランプ大統領が、1月15日に米中協議第1段階合に署名すると発表。
さらに「第2段階の協議のため訪中する」と表明したことに加え、新年2日には中国が一段の金融緩和に踏みきったことが好感され、買いが強まりました。
しかし、この買いは長続きせず、再び上値が重くなりました。
総じて、ドルには良いニュースが出ているわりに、重い印象が残るマーケットでした。
そして、昨年フラッシュクラッシュ(急落急反発)で108円台から104円台まで一時急落した1月3日。またしても、予期せぬ事態が発生しました。
トランプ大統領の命を帯びた米軍部隊が、イランのソレイマニ司令官とムハンディス副司令官を殺害したことから、リスク回避(リスクオフ)の円買いが一気に強まりました。
ワンポイント!戦争や事件などの有事の際、なぜドル売り・円買いとなるのか?
円は世界的に低リスク通貨とみなされており、有事の際には、リスクを回避するために買われる慣行となっています。
ドル/円の108.00円には、日本の生命保険会社(生保)といった機関投資家からの買い注文もかなり多かった模様ですが、それを潰すほどの売りが投機筋から出て割り込み、一時は107.84円に。
「欧米勢が新年度に入りやる気満々となる一方、日本の投機筋が正月気分で脇が甘くなる」という例年の構図は変わらず、週初から海外投機筋のドル売り優勢となりました。
しかし機関投資家は、昨年とは違って今回は事前に買い注文をびっしり入れていた模様。執拗な投機筋からの売りに対しても買い支えた格好で、108円台に戻しての越週となりました。
日本の機関投資家が昨年4月に決めた年度方針である、「(ドルが)下がったら買って、上がったら売る」の姿勢は正月でも変わらなかったということです。
この機関投資家の方針が変わらない限り、ドル/円はタイトな(狭い)レンジに終始する可能性は高いと思われます。
ただし、機関投資家の関心事は、あくまでも「動かぬドル/円」であり、クロス円には関心がありません。
そのため、クロス円では、ボラティリティー(価格変動率)が高く躍動感のある動きとなっており、クロス円での取引は今後も活発に行われるものと思われます。
ちなみに、先週の値幅を見ても、ドル/円が約1円75銭に対して、ユーロ/円は約2円30銭、ポンド/円に至っては約3円35銭の動きとなっています。
ユーロ/円 1時間足
ポンド/円 1時間足
今の円取引には、こうした通貨ペアの選択が必要だと思われます。
ただし、クロス円の欠点は、流動性(交換のしやすさ)が低いこと。あまりマイナーな通貨ペアは、避ける必要があります。
ワンポイント!
- 低い流動性の怖さ
平常時にはそれほどリスクがないように見えますが、いったん金融危機やテロといったリスクが発生すると、まったく交換できなくなるようなリスクがあるため、日頃から注意が必要です。