大きな潜在性を秘めた相場か?
ドル/円 1時間足
東京が成人の日で休場となった13日、米国とイランの緊張が一服したことや、米国が米中関係改善から中国に対する「為替操作国」認定を解除したことから、ドル/円は買われて一時109.95円まで上昇しました。
為替操作国とは
- 米財務省が提出する為替政策報告書に基づき、米議会が為替相場を不当に操作していると認定した国
翌14日もドルの上値を試そうとする機運が高まり、ドルは買われ、一時110.21円の高値をつけました。
しかし、110.20円近辺には、本邦機関投資家と思われる大口の売りがあったもようで、買いすぎた分の調整から軟化(下げた)しました。
15日には、一時109.79円まで続落しました。
この日、米中の貿易協議の第1段階の合意署名が行われましたが、織り込み済みで大きな反発とはなりませんでした。
16日には、発表された1月のフィラデルフィア連銀景況指数が予想を大幅に上回る17.0だったことや、週次の新規失業申請件数も堅調だったことから、一時110.18円まで上昇しました。
しかし、110.20円には、依然として、本邦機関投資家の大口の売りがあったもようで、110.20円まで買い上げるまでにはいきませんでした。
17日、午前10時頃の仲値決めに向けた輸入決済のドル買いがあった上に、マーケットのドルに対する強気ムードも高まり、一時110.30円をワンタッチしました。
ワンポイント
- 午前10時頃の仲値決めに向けた輸入決済のドル買いとは:午前10時に銀行が提示するレートを仲値と言いますが、多くの企業が為替レートの公正さを示す意味で仲値を採用することが多く、特に輸入企業がそのドルで輸入代金支払いの確定(輸入決済のドル買い)を行うためにドル買いが目立つ事となります。
しかし、110.30円にもまた、本邦機関投資家の大口売りがあったもようで、その後は小緩んで揉み合い、110.17円で越週となりました。
マーケットのセンチメント(市場心理)も、徐々にドル買いムードが高まり、先週1週間を見ても、下値が切り上がっていることがわかります。
一方では、機関投資家の売りが上げを遮っていることもわかります。
ただし、今までであれば、機関投資家の売りに上を抑えられれば、もろくも反落となりましたが、下げ止まって、また上を試そうとしているところに、今までとは相場が変わってきているものを感じます。
ドル/円 1時間足(現状の構図)
つまり、マーケットが、今までレンジとあきらめていたのが、相場が上昇トレンドに変わるかもしれないという期待感を持つようになってきていると思われます。
実際、上図からもわかりますように、上がって下げても下げ止まり、新たに上値を試そうとすることは、余程買いが引かなくなっていなければできることではありません。
※売っても売っても、また買いが強まることを意味しています。
このタイト(狭い)なレンジ相場は、すでに2017年から3年間も続いています。しかし、その前の2012年からの3年間では、約50円の上昇相場を演じています。
相場には、レンジ相場とトレンド相場があり、それが繰り返されています。
ワンポイント
- 一定の範囲、幅の中で動く相場付きのことをレンジ相場、また一定の幅で上昇、下落して動いている相場付きのことをトレンド相場と言います。トレンド相場には上昇トレンドと下降トレンドがあります。価格の動き方には3パターンある事が分かります。
今回の3年間のレンジ相場が長いかと言われれば、決して特別長いというものではありません。
逆に、それだけ相場が収束すると、トレンド相場に転換しやすくなります。
ドル/円 月足
2011~2012年のレンジ相場が、そのあとの、50円のトレンド相場を作ったのだと思います。
その意味で、これまでの3年間のレンジ相場が、新たなトレンド相場を作る可能性は大いにあります。
ただし、個人的には、上昇とは見ていますが、もちろん、下落の可能性もまた否定はできません。折々の状況を見ていく必要があります。
トレードをする際には、大きな流れの中でレンジ相場なのか、トレンド相場なのかを把握した上で、売買する事が重要となります。