ドル/円 1時間足
前週金曜、中国発新型肺炎の感染拡大懸念が高まり、リスク回避の円買い(※)からドル/円は下落し、ニューヨークは109.25円近辺で引けました。
リスク回避の円買い
- リスクが発生すると「安全通貨である円を買う」という慣行がマーケットにはあります。
そして、27日の月曜のシドニーは、108.89円近辺で寄り付き。週末をはさんで、窓(※)が開きました。
窓とは
前日の引け値(終値)と当日の寄り付き(始値)の間が離れて、あたかも窓が開いたようになることを言います。空(くう)、ギャップとも言います。
FX市場では、平日は24時間取引のため窓が開くことはまずありません。
しかし金曜のニューヨークの引け値と月曜のシドニーの寄り付きの間で、金曜からの流れに勢いがあったり、土日に要人発言やテロといった不測の事態が発生すると、窓が開くことがあります。
その勢いを借りて、月曜は繰り返し、安値が試されました。
しかし、108.80円前後では、日本の機関投資家(生命保険会社など)の買いが引かず、揉み合い相場(往ったり来たりの相場、レンジ相場)が続きます。
ところが、翌28日火曜のニューヨークタイムに発表された米消費者信頼感指数(※)が予想より良かったことが、ドルの買い戻しのきっかけとなり、ドル/円は109円台に乗せました。
米消費者信頼感指数
- 消費者に対するアンケート調査を基礎に消費者のマインドを指数化した指標。米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表しています。
売って失敗したことから、買いトライ(上を試す)で109.25円近辺を繰り返し試すものの、日本の機関投資家が今度は売っていたようで上値は重く、30日木曜には反落。
ニューヨークタイムに入ると、改めて新型肺炎への警戒感が高まります。
ドル/円は108.60円近辺まで急落しましたが、またしても日本の機関投資家と思われる買いオーダー(注文)によって買い支えられました。
31日未明から買い戻しが強まり109円台に乗せたものの、相変わらず109円台は重く、ロンドンタイムに入り下落。
さらに新型肺炎の感染拡大懸念は深まり、ニューヨークダウの引けが603ドル安になるまでに急落したため、ドル/円は、リスク回避の円買いが強烈に。機関投資家の買いオーダーをこなしながらも、一時108.31円まで下げて、108.36円で週を終えました。
要するに今週は、新型肺炎の感染拡大に翻弄された1週間でした。
相場の構図としては、リスク回避の円買いと、日本の機関投資家による大量の売り買いです。
「ドルが下がったら買い、上がったら売り」という機関投資家の方針によって上も下も繰り返し抑えられていましたが、感染拡大の懸念が深まるとリスク回避の動きは世界規模で強烈になりました。
その結果、機関投資家の大口の買いオーダーも飲まれていくことになったのです。
つまり、いくら日本の機関投資家が大口の買いを入れても、本当に市場がリスクを感じ回避しようとすれば、買いが鉄板ではないということ。
レンジ相場では「下がったら買って、上がったら売る」という手法が確かにうまくいくものです。
しかし、値幅が狭くなればなるほど、そのあと大相場になることは珍しくありません。
レンジと思って下がったところを買っていて、下にレンジがブレイク(突破)した場合、急落により大損失を被る危険性があります。
そういった意味で、「ぼちぼち下がったので買おうか、買い上がったので、そろそろ売ろうか」といった手法は慎重になるべきかと思います。