ドル/円 1時間足
24日月曜、シドニーで安く始まったドル/円は、天皇誕生日の振替休日で東京休場となっているなか、いったん111.50円近辺まで戻しました。
しかしロンドンに入り重くなり、さらに、ニューヨークに入り、新型肺炎感染拡大懸念から米株(ニューヨークダウ)が1000ドルを超す大急落となったことから110.33円まで下落しました。
25日火曜、東京タイムは5・10日(ゴトウビ※)ということもあり、10時ごろの仲値決めに向けて輸入決済のドル買いが強まり、一時111.04円まで反発しました。
しかし、ロンドンに入ると重くなり、さらにニューヨークに入ると米株が900ドル近くの続落となったため、一時109.89円まで下落しました。
5・10日とは
- ゴトウビと呼ばれ、つまり5日の倍数の日のこと。仲値決めのことで、特に輸入企業のドル買いが強まります。
ワンポイント
中値決め
日本の大手銀行や大手外銀は、毎営業日の10時前後にその日の顧客向けレートの元となる仲値(なかね)を決定し公表しています。
公表されるため公正さが高く、この仲値を取引のレートとする企業が多くなっています。
輸入決済のドル買い
輸入企業は、海外から製品・原材料を輸入し、その代金をドルなど外貨で仕入れて支払うため、銀行で円をドルなどに換えて送金します。
これを輸入決済のドル買いと呼んでいます。
26日水曜は揉み合いが続きましたが、ニューヨークに入り、FRB(※)の利下げ観測が後退したことから、一時110.70円まで反発。
その後また再び米株が軟調となったため、一時110.18円近辺をつけました。
それでも、この週としては、比較的落ちついた日でした。
FRBとは
- 連邦準備理事会のこと。米国の中央銀行制度の最高意思決定機関です。
27日木曜は、東京タイムでジリ安となりましたが、110.00円割れでは、値ごろ感からの押し目買いがしつこく出ました。
ワンポイント
値ごろ感からの押し目買い
たとえば、110.00円割れのようなポイントは「買ってもいいかな」という感覚を起こさせることから、押し目(売りが押してくるところ)を買うと人もいます。
つまり、買い持ちのポジションを作ろうとしているわけです。
ニューヨークに入ると一時的に110.35円近辺まで戻す場面もありましたが、米株が1190ドルという過去最大の下げ幅となったため、再び売りが強まり109.55円をつけました。
28日金曜になると、東京タイムからマーケットが買い下がってロング(買い持ちポジション)になっているためジリ安(ジリジリと下げる状況)となり、戻り(反発)がほとんどないまま下げ、109.00円を割り込んできます。
そしてロンドンは、アジア勢がロングにポジションを傾けていると見て売り込み、108.51円近辺まで急落。
さらにニューヨークに入り、米株が一段と売り込まれたため108.00円も割り込み、一時107.51円の週の安値をつけました。
その後、パウエルFRB議長が声明で早期利下げ(近い将来の金利下げ)を示唆したため反発となり、108.06円での越週となりました。
新型肺炎感染拡大懸念による米株の急落がとまらず、週間の下げ幅は3580ドルと、リーマンショック直後の下げ幅(1874ドル)を抜き過去最大。
それを受けてドル/円は、週の高値111.68円から安値107.51円まで、4円17銭もの下落となりました。
1週間を通してのチャートの形状は、ざっくりと言って、左上から右下に対角線状になっています。
これは、前の週の2円以上の上昇によってドル高志向が強まっており、下がったら買いから入ってロングポジションを作り、その後のドル上昇に備えようというマーケットセンチメント(市場心理)が強かったためと思われます。
しかし既述のように、米株が週間で史上最大の下げ、また米10年債利回りが1.15%近辺まで低下する中、ドル/円のマーケットのポジションはロングに偏っていたわけです。
「リスク回避の円買い」という発想はすでに古いかもしれませんが、やはりポジションの偏りを戻す方向に動くのは、避けられなかったと思われます。
ということで、買い下がってできたポジションを繰り返し投げた1週間だったと言えます。
上がるにしろ下がるにしろ、相場のスケールが大きくなっている中で、逆張り的なエントリー(相場への参入)がいかに危険か、お分かりいただけたかと思います。