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【第36回】3月9日の週は下げを確信してしまった相場

執筆者

水上紀行さん

外国為替ストラテジスト

水上紀行

MIZUKAMI NORIYUKI
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下げを確信してしまった相場

ドル/円 1時間足

ドル円1時間足

9日月曜は、前週の金曜に固かった105.00円近辺を、シドニー市場で104.20円台と大きく割り込んで寄り付きました(※)。

寄り付く

  • 市場が始まるという意味
 

104.04円近辺には、200カ月移動平均線(※)が重要サポート(下の支持線)としてありました。

これをすんなりと割り込むと、市場のコロナショックに対する緊張度も高まり、ニューヨークタイムに入って一時101.18円まで急落しました。

移動平均線

ある一定期間の価格から平均値を計算し、折れ線グラフで表したもの。

非常に単純ですが、効果的なテクニカル分析法です。

200という数字は長期を意味しており、非常に重要です。

今のところ、この時が112円台からの急落のセリングクライマックス(下落の最終段階)となっているようです。

この日、米国の代表的な株価指数であるダウは、約2000ドル安となりました。

しかし、10日火曜の東京タイムに入ると、さすがに売り過ぎたようで買い戻しが強まります。

ある程度高くなれば新規の売りも出ましたが、思うように下がりませんでした。

ニューヨークタイムに入ると、トランプ大統領が「給与税は選挙まで免除が望ましい」と共和党議員らに打診したと伝わり、一層買いが強まって105.91円まで上昇しました。

この日、ダウは約1100ドル高。

11日水曜、104.00円近辺から105.00円近辺でのもみ合いが続きました。

この日のダウは、約1400ドル安。このあたりから米株とドルの連動性がなくなりました。

米株とドルの連動性について

基本的には米国株が上がればドルは上がり、米国株が下がるとドルも下がります。

しかし時として、この連動性は崩れます。

主な原因は、それぞれの商品のポジションの偏り(売り過ぎ・買い過ぎ)が異なってきたときです。

12日木曜、しつこくドルを売るわりには下がらなくなります。

ニューヨークに入り、買い戻しに一時106.10円まで上昇。

その後104.63円近辺まで反落するという荒れた相場になりました。

この日、ダウは約2350ドル安となり、ドルの連動性はさほどありませんでした。

13日金曜、ドル/円は東京タイムの昼過ぎから上昇を始め、欧州タイムに入り本格化します。

理由の一つが、EU指導者の会合で財政刺激の必要性が示されたこと。

前日のECBによる金融支援策とともに新型コロナウイルスの影響に立ち向かう意志が示され、欧州株が大幅反発となりました。

さらに米国時間、トランプ米大統領が非常事態を宣言。

欧米のコロナショックに対する政策協調から、リスクが回避された(リスクオン※)の円売りが強まったため一時108.50円をつけ、108.00円での越週となりました。

この日、ダウは約2000ドル高となり、ドルとの連動性が強まりました。

リスクオンとは

リスクが回避されると、リスク商品である株や原油といったリスク商品を買う(オン)ということで言います。

一方、リスクが発生すると、リスク商品を売る(オフ)ためリスクオフと言います。

 

1週間を通せば、月曜に売りの最高潮(セリングクライマックス)を迎え、そのあとは抗いながらも買い戻しが続いた1週間でした。

決して問題は解決していないのに、こういった「下げから反発する相場」はよくあります。

月曜日に101.18円まで突っ込み、米株も急落しているのですから、これは「売りだ!」と確信を持つものです。

つまり、下げを確信して、マーケットの多くの参加者は売り始めます。

ただし安いところで売るのは怖いので、戻りを売ろうとします。

こうして「上げては売り」を繰り返していくと売りのポジション(持ち高)はどんどん膨らんでいき、下がりづらくなり、放っておくとジリジリ上がっていくようになります。

今回の例で言えば、12日木曜のニューヨーク以降、顕著にマーケットがショートに偏り、反発していっているのがわかります。

そして売りポジションが断続的に買い戻されることで、延々と上げは続いていきます。

こうしたときに売り上がろうものなら、真綿で首を絞められるように苦しい目に遭います。

最終的には、大々的な買い戻しによって、上げは終了します。

覚えておかなければならないのは、そのジリ高の発端が、月曜に「下げを確信してしまった」ところから始まっていること。

トレーディングでは、考え方が凝り固まってはいけません。

「どうしてこんなに悪い話が出ているのに、下がるどころか上がるのか。そうか、すでにマーケットはショート(売り持ち)になっているのだ」と気づくことが大事です。

トレーディングには、柔軟な思考が必要です。

この記事の執筆者

水上紀行さん

外国為替ストラテジスト

水上紀行

MIZUKAMI NORIYUKI

略歴

1978年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。 1983年よりロンドン・東京・ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 現在、外国為替ストラテジストとして雑誌・テレビ・ラジオなどで活躍中。 著書に『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』(すばる舎)『FX常勝の公式20』(スタンダーズ)『知識ゼロでも1時間で稼げるようになるFX入門 2018』(スタンダーズ)などがある。 →エフプロ執筆者・監修者一覧

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