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【第48回】6月1日の週|上昇トレンド入り

執筆者

水上紀行さん

外国為替ストラテジスト

水上紀行

MIZUKAMI NORIYUKI
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ドル/円 1時間足

ドル円1時間足

1日月曜、東京タイムは上値を試したものの、107.86円までがやっと。

その後軟化し、ロンドンタイムには、一時週の安値107.38円まで下落しました。

しかし下も固く、107.76円近辺まで反発後、107.50~65円近辺で横ばいとなりました。

2日火曜、東京~ロンドンと相変わらず107.50~80円近辺でやや強含みで推移していましたが、ニューヨークオープン間近の20時45分頃から、突然すさまじい買いが入ります。

あれだけ重たかった107.90~108.00円を突破し、さらに上昇を続けました。

上昇過程では相当な金額の売りも出ていたもようですが、買いはひるむ気配もなく、どんどん買い進みました。

3日午前2時45分頃まで買いは続き、108.77円の高値をつけました。

買い手については全く情報がありませんが、このときと同様の尋常ではない買いが4月6日、5月11日にも発生しています。

おそらくGPIF(※)によるものと見ています。

GPIF

    年金積立金管理運用独立行政法人。日本の国民年金や厚生年金の運用を担当する世界最大の年金基金。今年4月に新5カ年中期計画により、外債運用の運用配分を全体の15%から25%に拡大しました。拡大部分の10%だけでも17兆円という巨額の資金を円からドルをはじめ外貨に換えて外債で運用する必要性が出ています。

東京タイムは108.85円近辺まで買いが強まりましたが、久々の108円台ということで、輸出企業からの売りも出て反落し、一時108.42円をつけました。

ワンポイント

    輸出企業は、自動車など製品を海外に輸出した代金をドルなど外貨で受け取りますが、外貨では国内で使えないため、円に換えます。これによりドルなどの「外貨売り円買い」が発生します。これを「輸出企業の売り」と呼びます。

ロンドンタイムになると、ユーロ/円の買いが強まったことから、ドル/円も買われました。

ニューヨークオープン前、ロンドン勢(ロンドンの投機筋)のいったんのユーロ/円の手仕舞い売りに下押しされたものの、ニューヨークに入ると再びユーロ/円の買いが強まり、ドル/円も108.98円まで上昇しました。

4日木曜は109円台に乗ってきて、さらに109.16円近辺までジリ高に。

しかしそれ以上には上げきれずロンドンに入って、ポジション調整に109.00円を割り込みました。

20時45分に、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP※)の規模を6000億ユーロ増額し、1兆3500億ユーロに拡充するとともに、期間も少なくとも2021年6月末まで継続すると発表。

予想を上回る発表をしたことから、ユーロ/ドルが急騰し、それに連れてユーロ/円も約2円急上昇しました。

これを受けて、ドル/円はいったん108.62円まで下落後、ユーロ/円の買いに押されて反発し、109.20円をつけました。

パンデミック緊急購入プログラム

  • 新型コロナウィルス感染拡大の被害をもっとも被った南欧を中心に救済するための復興計画

5日金曜、ロンドンタイムに入り4月6日の高値109.38円を試し上抜けたものの、上げは109.42円近辺止まりで緩み、米雇用統計の発表を待ちました。

そして発表された5月の米雇用統計(※)では、失業率(※)は13.3%(予想19.0%)、非農業部門就業者数(※)は+250.9万人(予想-750.0万人)と予想外の大幅改善を見せたことから買いが強まり、週の高値109.85円をつけたものの、上値も重く小緩み、109.59円での越週となりました。

米雇用統計

    米国の代表的な経済指標で、雇用情勢を示し、最も注目されていると言って過言ではありません。しかし、最近、発表後の値動きが限定的になっているという傾向があります。

失業率

  • 文字通り「失業している割合」で、米雇用統計を構成する指標のひとつです。

非農業部門就業者数

    農業部門以外の産業で働く就業者の数です。米雇用統計の中でも、失業率と合わせて最も注目されています。

前月からの膠着したレンジ相場が、とうとう上にブレイク(突破)し、上昇トレンドとなってきました。

2日火曜以降、連日上値を更新し、5日金曜には110.00円目前まで一時上昇しました。

110.00円は節目の水準であり、売り注文も多いものと思われます。

一気に上抜くのは困難ではありますが、109.50円以上で越週したことにより、来週以降さらに上値を試すことになるものと見ています。

レンジ相場から上昇トレンド相場に移ると、相場が一方向に動きやすくなります。

したがって、レンジ相場とはトレード法が変わり、買い先行で上がったら利食い、下がったら買うという回転を利かせたトレーディングが重要になります。

また、すでに多くのマーケット参加者が「上昇トレンドに入った」ことを自覚しているものと思われます。

買いで入ってくる参加者が多くなる分、高値では買わず、押し目で買うことに徹することが大事です。

特に、ロンドンタイムに調整が入りやすいため、日本時間20時過ぎぐらいまで待って買うなど、相場へのエントリーに細心の注意が必要です。

この記事の執筆者

水上紀行さん

外国為替ストラテジスト

水上紀行

MIZUKAMI NORIYUKI

略歴

1978年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。 1983年よりロンドン・東京・ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 現在、外国為替ストラテジストとして雑誌・テレビ・ラジオなどで活躍中。 著書に『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』(すばる舎)『FX常勝の公式20』(スタンダーズ)『知識ゼロでも1時間で稼げるようになるFX入門 2018』(スタンダーズ)などがある。 →エフプロ執筆者・監修者一覧

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