ドル/円 1時間足
16日早朝、米FRBは、1.0%の緊急利下げ、ゼロ金利政策の導入、量的緩和の再開※など、一連の金融緩和策を発表し、さらに日米欧の中央銀行は、ドル資金の供給の枠組み拡充※で合意し、市場の鎮静化に躍起になりました。
緊急利下げ
緊急事態に対応して、通常金融政策を決定する定例FOMC(連邦公開市場委員会)の開催を待たずに、利下げを決定すること。
ゼロ金利政策
短期金利を実質0%まで下げる政策
量的緩和の再開
市場に大量の資金を供給する金融緩和策のこと
日米欧の中央銀行のドル資金の供給の枠組み拡充
基軸通貨であるドルが不足しないようにするため、日米欧の中央銀行が協調してドルを市場により供給しようと合意するもの。
しかし、ニューヨークダウは、米景気後退が年後半まで続くという見方から、3000ドル近く下げたため、リスク回避の円買いが強まり、ドル/円は一時105.15円まで下落しました。
17日火曜、ドル/円は、ジリ高を開始し、当初売り過ぎによる買い戻しと見られ、一時107.86円まで上昇しました。
ニューヨークダウも、1000ドルほどの上昇となりました。
18日水曜、東京タイムは、レパトリ(国外に投資している資金を国内に戻して、円に換えて決算する)のドル売りも出たもようで、一時106.76円まで下落しました。
ところが、ニューヨークダウが、この日約1300ドル下落したにもかかわらず、米長期金利が上昇し、これにつれて、ドル/円も108.65円まで上昇しました。
本来、米国株が下がれば米長期金利も低下するところですが、上昇した原因は、米国債の換金売り(利回り上昇)が大量に出たためでした。
米国債の換金売り
要は米株の暴落でドル資金が不足しているため、保有している米国債を売って現金化しようとする動き。言い換えれば、米国株の暴落により投資家から求められる米国株の現金化に対応するために、債券を売る行為
19日木曜、今度は、不足するドルを調達するための、最終手段としてのドル買いが強まり、終日ドルは買われ、ニューヨークでは、一時110.95円をつけました。 ニューヨークダウは、188ドル高でした。
ワンポイント
ドル資金がどうにも調達できなくなると、最終的には為替でドルを買って、ドル不足を補うことになります。
ある意味、株の暴落による資金不足の末期的な症状と言えます。買ったドルは、買い放しで、売り戻すことはありません。そういった動きをドル調達のためのドル買い、と言います。
20日金曜、東京は春分の日で休場でしたが、ドル調達のドル買いにアジアタイムに一時111.36円まで上昇しました。
その後、買い過ぎたのか、一転して下げ、一時109.34円をつけました。
しかしロンドンタイムに入り、再びドル調達のドル買いが強まり、ニューヨークでは、一時111.50円まで上昇しました。
そして、小緩んで、110.85円での越週となりました。この日、ニューヨークダウは、約900ドル安でした。
米国債が売られ、金が売られ、ドルが買われ、つまり、損得の問題ではなく、不足しているドルを手当てするため、あらゆる手段でドルの現金を調達する、まさに、株暴落相場の末期的症状に今週はなりました。
結局、最終的には、基軸通貨であるドルが必要とされるということでもあります。
このパニックな状態を鎮静化しようと、日米欧の中央銀行も躍起になっていますが、いまだに相場が落ち着く気配がありません。
なによりも、おおもとのコロナウィルス感染拡大が、今欧米で続いており、これが一服することが必要だと思います。それまで、相場はまだ、神経質な展開を続けるものと見ています。
慎重な対応、深追いを避けたい局面だと言えます。