ドル/円 1時間足
前週の3月26日水曜から急落し、30日月曜の東京タイムに107.13円をつけて底打ちしました。
前週からの4円余りの急落を見て、マーケットは「これは下がる」と確信。
反発気味の相場にも関わらず、次の下げを狙って戻り売りを段階的にやりました。
しかし、大幅な急落後なので大方のロング(買いポジション)は解消されています。戻り売りをすると、マーケットのポジションはショート(売りポジション)になり、ジリ高(ジリジリと上がる相場)となりました。
この地合い(じあい、相場の過程)では、このマーケットがショートになっていくことに気付いている勢力もいて、あえて買い上げることによって、ショート筋を苦しませて買い戻しさせようとする動きがでることがあります。
この勢力とは主にロンドン勢(ロンドンの投機筋)で、この買い戻しを誘う手法を「ショートスクイズ」と呼びます。
この買い上げによって、31日火曜の20時台には、一時週の高値108.73円まで上昇し、ロンドン勢はすかさず利食って行きました。
この夏時間の20時台の手仕舞いには、意味があります。
21時に全く違う考えを持つニューヨークがオープンするため、ロンドン勢はその前に利益を確定しておきたいのです。
案の定、31日のニューヨークに入ると、ダウが前日の700ドル近くの上昇の反動から売られたことが材料になり、ニューヨーク勢(ニューヨークの投機筋)は、ドル/円を叩きつけるように売ってきました。
その米国株安に伴う下落の流れは、4月1日水曜のニューヨークまで続き、一時106.93円の週の安値をつけました。
この過程で、またショートポジションが積み上がっていたもようです。
ところが、2日木曜のニューヨークで、トランプ大統領が主要産油国の減産を示唆したことから原油価格が急上昇し、これを受けてドル/円も上昇しました。
そして、下げの過程でショートになって捕まったマーケット参加者のことは、ロンドン勢は見逃しませんでした。
3日金曜、米雇用統計(※)の発表当日、ロンドンオープンと同時にショートスクイズは始まり、108.00円近辺から108.60近辺まで買い上げてショート筋をあぶり出し、発表時間の21時30分の15分前ギリギリで利食って、売り逃げています。
米雇用統計
米国の雇用状況を示す指標で、大変注目されています。
失業率、非農業部門雇用者数をはじめ、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数などの業種別雇用者数、週平均労働時間、平均時給などからなりますが、特にマーケットでは、非農業部門雇用者数が注目されています。
そして発表された3月の米雇用統計。
非農業部門雇用者数がマイナス70.1万人と予想のマイナス10.0万人を大幅に上回ったにも関わらず、ドル/円は108.25円近辺と下げ渋り、上げても108.67円近辺と限られ、最近の膠着する米雇用統計の動きと何ら変わらない値動きとなりました。
むしろ米雇用統計発表前のロンドン勢によるショートスクイズの方が、雇用統計発表後の動きよりも一方向で、順当な動きだったといえます。
米雇用統計の発表となると「発表が出てから動く」という発想になりますが、今回のように悪い結果をマーケットの大勢が期待しているのなら、むしろ発表前にそうしたショート筋をあぶり出したほうが効率が良いとも言えます。
儲けることは、簡単ではありません。
人と同じことをやっていても儲かりません。
今回の米雇用統計にあたってのロンドン勢の貪欲さは、学ぶ点が多いと思います。
今週は、ざっくりと言って、107.00円~109.00円の2円レンジでした。
そうした狭いレンジでも、生き残っていく道はあるということです。