ドル/円 1時間足
4月2日からドル/円は反発していましたが、買い戻しも一巡した7日から反落となり、13日月曜は、その反落途上にありました。
14日火曜未明、産油国が減産で合意しましたが内容が不十分との見方から原油価格が下落。
それに連れてドル/円もロング(買い持ち)解消の売りが続き、一時106.99円をつけました。
15日水曜の東京マーケットでは、アジアのマーケット参加者の多くが、今度はドルのさらなる下落を期待するようになり、一時106.93円まで売り込みました。
しかし、それによって、マーケットはショートになり、ロンドンに入るとショート筋のロスカットを狙って買い上げられて急上昇し、さらにユーロ/ドルやポンド/ドルが売られた(ドル買い)に連れて、一時さらに上昇しました。
16日木曜は、アジア勢はまた売り志向となっていたところを、ショートスクイズ(※)が入り、買い上げられ、一時108.08円まで上昇しました。
ショートスクイズ
マーケットがショートになっていることを投機筋が嗅ぎつけて、買い上げて、ショート筋を買い戻させたところを利食うというトレーディング手法。
特にロンドン勢が得意としています。
ニューヨークタイムに入って発表された週次の米新規失業保険申請件数(※)は、524.5万件と引き続き高水準でした。
また4月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数(※)が1980年以来の低水準だったこと、3月の住宅着工件数(※)が予想を大幅に下回ったことから、一時107.16円まで急落。
しかし米株が下がり切らなかったことから、急速に買い戻されました。
米新規失業保険申請件数
週ベースの失業保険の申請件数。アメリカでは新型コロナウィルス感染拡大により失業者が急増しており、今一番注目されている指標と言えます。
フィラデルフィア連銀製造業景気指数
地区連銀の一つであるフィラデルフィア連銀が発表する景気指数。歴史もあり注目されています。
米住宅着工件数
新築住宅戸数の指標。住宅購入に伴い、家具・家電などの購入も行われることが多いため、個人消費への波及が大きいとして注目されています。
17日金曜早朝、再度108.10円のレジスタンス(抵抗線)が試されましたが、上げは108.08円までに留まり、107.70円前後まで反落。
ロンドンに入ると、ユーロ/円、ポンド/円の売り(ドル買い)が強まる一方、ドル/円は底堅く、一時107.93円近辺まで買いが強まりました。
しかし、投機的なユーロ/ドル、ポンド/ドルの売りは利食いの買い戻し(ドル売り)となると、ドル/円がロング(買い持ち)になっていたこともあってか反落となり、一時107.30円まで下げました。
その後は調整となり、結局、107.56円で越週となりました。
今週通して言えることは、「投機筋だけが動いている、いつもと変わらないレンジ相場の4月」だということ。
トレンド相場を作る生命保険会社・機関投資家・輸出企業や輸入企業といった実需筋は、4月は新年度の計画策定をしているため動いていないのです。
ワンポイント
トレンド相場とは、一方向への資金の流れ(フロー)があるため、相場が一方向に動く相場。
こうしたフローは、機関投資家や実需によって作られます。
一方レンジ相場は、ある一定の値幅の中で行ったり来たりする相場。
一方向のフローを作る機関投資家や実需がいないために、このような相場となります。
投機筋は、売れば利食いか損切りのために買い戻さなければなりませんし、買えば利食いか損切りのために売らなければなりません。
したがって、相場が行ったり来たりとなるわけです。
いろいろと、まことしやかな材料が出ては売りや買いが強まったりしますが、結局は投機筋しかいないため方向感のない相場だと言えます。
少なくとも4月いっぱいは、そんな相場が続くのではないかと見ています。