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【川崎ドルえもんさんインタビュー】グルグルトレインの作成秘話と時間統計論の有効活用法

グルトレ、ナンボトレード法、時間統計論と、独自の切り口でFX相場を分析し、オリジナリティの高い運用手法を発信、運用している「川崎ドルえもん」さんのインタビュー企画が実現しました。

FXを始めたばかりのころの話、投資を学ぶための本の読み方、選び方、時間統計論の有効活用法など盛りだくさんの内容です。

お話をうかがった人

川崎ドルえもん

FXトレーダー

川崎ドルえもん

KAWASAKI DORUEMON

略歴

1987年生まれ。24歳のころにFXを始め、31歳で専業トレーダーに。

兼業トレーダー時代に新しいリピート系手法「グルグルトレイン」略してグルトレを開発しSNSで話題に。 現在はFX専門誌であるFX攻略.comでの連載や為替統計論を発信中。

川崎ドルえもんのFXブログ

執筆者

鹿内武蔵

FXライター

鹿内武蔵

SHIKAUCHI MUSASHI

仕事に集中できるよう、放置できるトレード手法を考案

-ドルえもんさんがFXを始めたきっかけから教えてください。

川崎ドルえもん(以下ドル):もともとはバーテンダーをやっていたんですが、自分のバーを開きたくて、お金を稼ぐために建築業に転職しました。でも、その仕事は日給制で、あまり稼げなかったんです。

それで別の方法でお金を稼げないものかと思い、24歳のときにFXを始めました。今僕は32歳なので、かれこれ8年になりますね。 ただ兼業時代の最初の3年、4年はずっと負け続けていました。一人で働くことも多かったので、仕事中にトイレに行くふりをしてスマホでトレードをしたり。でもこれだとチャートが気になって仕事に支障が出ます。

それで放置できる自動化した手法を作ろうと思って、グルグルトレイン、略してグルトレを考え出しました。

このやり方なら、事前に家でセッティングをしておけば、あとは自動で売買されるので、仕事に集中しながらFXの運用もできました。 当時はスマートフォンでしかトレードをしていませんでした。

一応低スペックのパソコンは保有していましたけど、機械にも詳しくないこともあり、スマホだけでできるトレードということでグルトレを構築しました。ちなみに今もパソコンではチャートを見るくらいで、発注はスマホで行っています。

それでせっかく考え出したグルトレでしたから、運用方法や考え方などを1冊の書籍としてまとめました。

底辺高校卒業生が教えるFXトレード新手法【グルグルトレイン】

でも最初のうちは誰も知らないので、自分で130部ほど印刷して、Twitterで募集をして希望する方にプレゼントしました。そのうちの一人の羊飼いさんが拡散してくださり、それで少し有名になれました。

-投資を始めるとき、FX以外の商品も検討しましたか?

ドル:していません。

始めた2012年ごろは、SBI FXトレードのCMが多く流れていて、短期間で稼げるかもと期待してFXを始めました。

1つのことにしか集中できない人間ですので、他の投資をやろうとは思わなかったですね。でも最近は株の勉強もしています。

-FXを始めたばかりのときは、どういう勉強やトレーニングをしましたか?

ドル:FXを始めて半年間は、ポジションを持たずにチャートを分析して、これから上がるのか、下がるのかという予想を繰り返しました。

それと100円くらいで販売されているFX解説書の古本を30冊ほど買いまくって勉強していました。レバレッジが数百倍の時代の古い情報もありましたが、FX自体の仕組みややり方は同じなので気にせず勉強を続けました。

それで半年間経過後、30万円を入金してFXのトレードを開始しました。

-そういった本から学べることはありましたか?

ドル:今にして思えば、そういった100円くらいの古いFX本は、初心者向けの概説書の位置付けです。

だから基本は学べましたが、核心になるような部分はあまり書いてないんです。初心者向けの本だから、初心者を脱した人は売ってしまいます。

でも、中級者以上が読む本は中古市場にはそんなに出回らないですよね。最近はそういった、1冊で数千円はするような中上級者向けの投資本をよく読んでいます。

-そういった骨太の本の中から、これは良いというものを紹介しただけますか。

ドル:田渕直也さんの本を読んでいます。 たとえば『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』はおもしろいです。

僕は確率統計が好きなので、この方が書いているような金融における確率や統計をテーマにしたものはよく読んでいます。 ただ僕もある時期までは、FXはずっと勉強をしていけば、勝率が9割くらいになると勘違いしていました。

テクニカル分析を身につけて、聖杯を見つけ出せばほとんど負けなくなるというイメージですね。

でもこれは間違いでした。市場を予測することは本質的に不可能で、確率的に優位性があるところを狙うしかできないということを学びました。

夏枯れ相場はデータからも明らか

-ドルえもんさんが公式ブログで公開している、時間統計論について教えてください。

ドル:2000年からの月足、週足、日足のデータを20通貨ペアで全て集めました。

例えばドル円の月足なら、8月は陽線が5回、陰線が15回で陰線の方が圧倒的に多く、統計的には下降の方が優位であると判断をします。 数字の上では75%が陰線ですね。

-よくいわれる、夏枯れ相場で8月は株安、円高になるというアノマリーが、実際の数字にも現れているわけですね。

アノマリー

明確な根拠はないが、しばしば見られる相場の経験則のこと

ドル:はい、そうなります。

そういったアノマリーの話はよく聞くんですけど、みんな感覚的な部分で終わっていて、ちゃんとデータで検証している人を見かけないなと思い、自分でやってみることにしました。相場の世界にはいろいろなアノマリーがありますよね。

ゴトー日なんかは根拠があるものですが、たとえば「ジブリのアニメ映画が放映される日には相場が動く」のようなものもありますし。 こういったアノマリーをちゃんと数値化、データ化することで、本当に意味があるものかどうかが分かり、なおかつトレードにも生かしやすくなると思いました。

僕はもともとデータや数字が大好きな人間で、8月の相場がなぜ下がるのだろうという疑問から、このデータ集めを始めました。

すでに述べたとおり、月足ベースでは8月は陰線になりやすいです。さらに1か月間の中でどこが下がりやすいのを知りたくなり、週足や日足のデータ分析も始めました。

こういったデータ集めは、すべて手作業でやっています。

-手作業だとかなり時間がかかりますよね。

ドル:そうなんです。

次は4時間足のデータを分析したいんですけど、日足の6倍の量になりますので、さすがに手作業は厳しいです。 プログラムを作ってくれるような方はいないものかと探しています。

4時間足のデータが集まると、今度は1日の中のどの時間帯に動きの特徴があるのかが分かります。 日足で陽線が多く上がりやすいとして、上がりやすいのは東京時間なのか、欧州時間なのか、NY時間なのか。 これが分かると、より精度の高いトレード戦略を立てる土台になるという期待があります。

で、さっきの8月に戻ります。

もともと日本のお盆休みの影響があるのはよく聞く話です。毎年8月15日以降にお盆休みになる企業が多いですから。

なので、その8月15日になる前に、保有しているポジションを決済することで、株安、円高になっているんじゃないかと。実際に見てみると、8月1日から8月15日くらいまでのドル円日足は、陰線になる確率が高いんです。

なので、8月に入ったら売りを積み立てていき、中旬に決済すればそれなりに利益が出るじゃないかという戦略が成り立つわけです。

-なるほど…。

ドル: 8月15日以降はあまりはっきりした傾向はないのですが、9月に入ったくらいから円売りドル買いの動きが活発になるため、ドル円などの買い戦略が機能するかもしれないという判断になります。

同じように年末の12月は、参加者がポジションを減らしていくため、12月15日以降はドル円は下落傾向です。 なので、9月からドル円をロングで積み立て、12月中旬に決済をするという、大きな視点での基礎戦略が導き出されます。

-トレード全体の方針を構築できるわけですね。

ドル:はい。

この方針にテクニカル分析を組み合わせたりして、具体的な売買のポイントを決めていきます。

相場全体の方向感をデータから判断

-ドルえもんさんがブログで公表しているデータを、私たちはどのように活用すれば良いのか、今日(取材をした2020年5月28日)の記事を例に、教えていただけますでしょうか。

【2020年5月28日の記事】 引用元:川崎ドルえもんのFXブログ

ドル:たとえば今日なら、ポンドドルは2010年~2019年の過去10年間、日足ベースでは一度も陽線になっていません。

ただこれだけでロングは難しいということが分かります。 このように極端なデータがある通貨ペアが、いくつか見つかることがあります。また、ユーロドル、豪ドル米ドル、NZドル米ドルも下落傾向ですから、米ドル高の傾向があることも読み取れます。

なので、ポンドドル、ユーロドルなとは売り目線になりますし、米ドルカナダドルは買い目線です。 こういった全体の方向感に、テクニカル指標による分析が合致したらエントリーをしていきます。

ただし、これは過去のデータから見た確率論です。

例えばユーロドルは10年間で14%は陽線になっています。 陰線の方が多かったですが、データの上でも陽線になることもあったので、過信せずに直近の高値や安値に損切り設定を入れることは必須です。 逆に行くことは当たり前のようにありえます。

また、こういった統計による分析は、突発的なファンダメンタルズ要因に弱いです。

トランプ米大統領がいきなり爆弾発言をして相場が急変動するようなら、過去の傾向はもうあてになりません。 ですので、何もイベントがない平穏な日の方が戦略に組み込みやすいでしょう。

あとは、月末の方がこういったデータが強く機能する傾向があります。 月末には企業の決済など、相場を動かす要因もありますし。

-FX初心者の方でも参考になる考え方だと思います。

ドル:過去10年の陽線と陰線の偏りが、80%以上、20%以下の通貨ペアがあれば、かなり強い傾向があると判断できるため、トレードの参考になると思います。あとは個別の通貨ペアだけではなく、先ほどのドル買いのように、1つの通貨が全体的に強い、弱いという見方も有効です。

今日でいえば、ポンド、そしてフランです。

ポンド円、ポンド豪ドルを見るとポンド安の傾向が読み取れます。またフラン円が陰線、ドルフランが陽線の確率が高いですから、フラン安の傾向も発見できます。 複数の通貨ペアをトレードすることで、リスクヘッジも狙えます。

さらにこういった傾向が3日、4日連続して続くこともあります。その場合には、初日に傾向から外れても、途中の反転を狙って損切りを深めに取ってホールドするような戦略も考えられます。

-なるほど。逆にドル円のように、上がりも下がりもしなそうなものは、トレードの候補から外すこともできるわけですね。

ドル:はい、その考えもありです。

もともとドル円はリスクオフ通貨同士の組み合わせで、あまり傾向が出ない通貨ペアではあります。

-それでは最後に、これからFXを始める方にアドバイスをいただけますでしょうか。

ドル:書店に並んでいるFXの解説書の多くは、テクニカル分析やトレード手法の本です。でも僕が8年間FXに取り組んで、資金管理が非常に重要であることを実感しています。

ギャンブルではなく資産運用としてFXに取り組むなら、まずはいくら動いたらいくら勝ち、いくら動いたらいくら負けるかをちゃんと把握することから始まります。

会社の上司から資金を預けられて、このお金を自由に使って利益を出してほしいと指示されたら、お金をどう使ったかを当然上司に報告することになりますよね。 この報告書が書けるくらい、ちゃんとした根拠を持ったトレードをしましょう。

何も考えずに適当にお金を使って、やっぱりダメでしたでは怒られるわけじゃないですか。 上司に突っ込まれても即座に答えられる程度は、リスク、リターンを理解し、戦略を定めてからトレードをしてください。

他人に説明できないトレードはしないということですね。

-なんとなくのトレードはNGということですね。本日はありがとうございました。

この記事のまとめ

川崎ドルえもんさんの手法や考え方に共通しているのは、FXの投資を確率に乗るための作業としてとらえ、淡々と日々のトレードを繰り返すことです。今回の時間統計論はまさにその典型で、一撃必殺の必勝法ではなく、少しでも利益を出せる可能性が高い方向性を見つけ出すために考え出された方法論のように感じました。

統計的視点での資産運用を身に付けるためにも、川崎ドルえもんさんの日々のブログ記事を参考にし、その日の傾向が出ている通貨ペアを狙うのも有効でしょう。

この記事の執筆者

鹿内武蔵

FXライター

鹿内武蔵

SHIKAUCHI MUSASHI

略歴

国内唯一の月刊FX情報誌、FX攻略.comの元副編集長として、2008年の創刊時より取材・編集・執筆に携わる。 多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に活動中。各種メディアでの執筆の他、トレーダーとしてFXの運用も行っている。 →エフプロ執筆者・監修者一覧

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※1:ファイナンス・マグネイト社調べ(2012年1月~2019年12月)

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