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トルコリラのスワップ運用ってどうなの?賢い運用のための注意点とは

トルコリラのスワップポイントで、お金を増やしたいけど損はしたくない…

トルコリラのような高金利通貨はスワップポイントを狙っている人にとって、非常に魅力的に感じますよね。

しかし、初心者にとってはトルコリラのスワップポイントを目的としたトレードは大きなリスクが伴います

では、トルコリラでスワップ運用するにはどうしたらよいのでしょうか?
本記事では、その方法を詳しく解説していきます。

執筆者

鹿内武蔵

FXライター

鹿内武蔵

SHIKAUCHI MUSASHI

記事のまとめ

  • トルコリラは高金利通貨として有名なため、スワップポイント狙いの長期運用を考える人は多い
  • しかし近年の世界情勢の影響で、以前に比べて得られるスワップポイントは減少してきている
  • 為替相場も下落傾向が続き、史上最安値を更新する流れが続いている
  • 長期運用する場合、レバレッジは1~2倍など低めに抑える
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トルコリラのスワップポイント一覧表・8社比較

FXの取引では、通貨の交換と同時に、金利の交換も行われます。

その際、2つの通貨に金利差があった場合は、差額の金利を受け取ったり、支払ったりします。それが、スワップポイント(金利差調整分)です。

原則的に、「金利の高い通貨を買って、金利の低い通貨を売る」場合は、スワップポイントが受け取れます。逆に「金利の低い通貨を買って、金利の高い通貨を売る」場合は、スワップポイントを支払います。

トルコリラは高金利通貨としても有名なので、「トルコリラ円の買いポジションを長期間保有し、スワップポイントを狙う」という運用方法が気になっている人も多いことでしょう。

そんな人のために、まずはFX会社各社のトルコリラ円のスワップポイントを紹介しましょう。

実は、近年の世界情勢の影響もあり、トルコリラのスワップポイントの魅力は一昔前に比べて減少しています

FX会社 買いスワップ
GMOクリック証券ロゴ 17円
外為どっとコムのロゴ 20円
ヒロセ通商のロゴ 23円
FXプライムのロゴ 19円
みんなのFXのロゴ 22円
外為オンラインのロゴ 10円
マネーパートナーズのロゴ 3円
SBIFXのロゴ 16円

※2022年4月15日時点の1日あたり/1万通貨のスワップポイント

トルコリラってどんな通貨?

トルコリライメージ画像

トルコ共和国は、東ヨーロッパと西アジアにまたがる国です。東西文明の十字路として古くから栄え、数々の文明が興った場所でもあります。

現在は人口の多くがイスラム教徒のイスラム教国で、現政権のエルドアン大統領はイスラム主義を全面に押し出しています。その一方、1987年にEC(欧州共同体)へ加盟申請、2005年からはEU(欧州連合)への加盟交渉が開始され、その見通しは立っていないものの、経済や政治面ではヨーロッパの一員として認められつつあります

地政学的には、隣接するシリアと緊迫した関係にあり、そのリスクが後退する兆しは見えていません。またさまざまな問題から、米国やヨーロッパとの関係悪化も懸念されています。その地政学リスクの高まりは、トルコ経済や金融市場に悪影響を及ぼすことになります。

通貨は「トルコリラ」(TRY)です。政策金利は14.0%(2022/3月時点)と、他の通貨と比較してスワップポイントが高く設定される傾向があります

知っておきたい!ここ数年の「TRY/JPY」の推移

2009~2020のトルコリラ(月足)

「TRY/JPY」の長期チャート(画像は2009年~2020年の月足)を見ると、右肩下がりに推移していることが分かります

2010年~2015年ごろは、約40円~60円の間を行き来する推移を見せていましたが、2016年に40円を下回ってからは顕著な下落傾向に。2020年8月には約14円まで下落し、史上最安値を更新しています。

2017~2020のトルコリラ(週足)

「TRY/JPY」のここ最近のチャート(画像は2017年9月~2020年8月の週足)で、ひときわ目立つのが2018年8月の急落です。

これは、トルコショックと呼ばれる急落で、約20円から史上最安値である15円台まで突入しました。その後、年末までに約22円まで戻りを見せますが、回復はそこまで。

それ以降は再び下落傾向となり、史上最安値を更新する流れが続いています。

トルコリラのリスクを解説

2014年ごろからトルコリラを取り扱うFX会社が増え始め、スワップポイントの継続的な受け取りを狙った取引をする運用手法(スワップトレード)が人気を集めました。

かつては、1万通貨あたりの買いポジションでのスワップポイントが100円を上回る水準の口座もあったほどです。

ただし、2021年10月時点でスワップポイントは約20円前後と安くなり、スワップトレードの優位性は薄れつつあります

また、トルコリラの取引には、次のようなリスクを伴います。

(1)為替レートが急変動するリスクがある

トルコは政治や経済情勢が不安定な傾向にあり、その影響がトルコリラの為替レートに現れることもあります。

レートが急変動すると、条件によっては強制ロスカット(証拠金維持率が一定水準に達した際に、それ以上損失が拡大しないように、強制的に反対売買が行われる仕組み)になる可能性があります。

(2)金利差が縮小するリスクがある

政策金利の差、およびスワップポイントは、情勢により変動します。

トルコの政策金利は変動が激しく、ここ最近では24%(2019年6月)から14%(2022年3月)まで引き下げられています

前述の通り、「TRY/JPY」はかつて100円を上回る高水準の受け取りスワップポイントでしたが、それも今は約20円前後になり、今後さらに縮小していくことも考えられます。

高額なスワップポイントを目的に取引を始めたとしても、その前提が崩れ、取引の優位性が失われてしまう可能性をはらんでいるのです。

(3)スワップポイントの累積よりも、為替差損が上回る可能性がある

スワップトレードは、スワップポイントの継続的な受け取りを狙うわけですが、その間に為替レートが逆行して、保有ポジションの含み損が大きくなってしまう可能性があります

「含み損>スワップポイントの累積」という関係になってしまうと、トータルの損益がマイナスになってしまいます。

(4)FX会社の取り扱いが終了するリスク

トルコという国家が存在する限り、その通貨であるトルコリラがなくなることはありません。

ただし、流動性が極端に下がるなど、FX会社がサービスとして取り扱うことができなくなると、個人投資家が証拠金取引できなくなります。

例えば、アイスランドの通貨クローナは、高金利通貨として一部の投資家に人気があり、国内FX会社でも取り扱いがありました。

しかしリーマンショック後の値動きの影響で、国内のFX会社のほとんどが取り扱いを停止し、保有されていたポジションはその時点のレートで強制決済されたことがあります。

ただちにトルコリラがそうなる可能性は低いですが、通貨が存在しても、FX会社でトレードができなくなれば、運用を続けられなくなることは覚えておいてください。

トルコリラのリスク対処法

トルコリラでスワップトレードする際は上記のリスクを把握しておくことに加え、強制ロスカットを避けるよう、資金管理が必要です。

つまり証拠金維持率を高くした運用(低レバレッジでの運用)をし、またどれくらいの下落により強制ロスカットになるのかを把握のうえ、場合によっては証拠金を追加して強制ロスカットラインを遠ざけるなどの対処が重要です(強制ロスカットが行われる証拠金維持率は、FX会社によって異なります)。

「証拠金維持率」とは

「有効証拠金(口座残高に評価損益を加えた金額)÷必要証拠金×100%」で求められる数字のこと。

証拠金を増やすと証拠金維持率は高くなり、含み損が膨らむと証拠金維持率は低くなります。

為替相場は常に変動しているため、絶対に安全な水準はありません。ただ、レバレッジを1~2倍、証拠金維持率を1,000%以上に保っていれば、ただちに運用が破綻する可能性はかなり低いといえます。

いくつかのFX会社では、ロスカットラインのシミュレーターを提供しています。

これを利用すれば、「レートがいくらになったら強制ロスカットになるのか」を試算することができます。そのロスカットラインが、現在レートと近いようであれば、証拠金を追加することで、引き離すことができます。

「TRY/JPY」は下落傾向にあり、史上最安値を更新し続けていますから、買いポジションの含み損が大きくなってしまうシナリオを想定しておく必要があるでしょう。

スワップポイントがどれくらいもらえるかシミュレーションしてみた!初期投資にはいくら必要?

ここでは「TRY/JPY」で、どれくらいのポジション数で、どれくらいのスワップポイントを累積するかについて、シミュレーション結果を紹介します。

スワップポイントは、1日25円/1万通貨とします。なお、この試算ではスワップポイントの変動は考慮していないので、参考値としてとらえてください。

スワップポイントの累積の試算(スワップポイント:25円)
1年後 3年後 5年後 10年後
1万通貨 9,125円 27,375円 45,625円 91,250円
5万通貨 45,625円 136,875円 228,125円 456,250円
10万通貨 91,250円 273,750円 456,250円 912,500円
20万通貨 182,500円 547,500円 912,500円 1,825,000円

1万通貨の買いポジションでも1年後には約9,000円、3年後には約27,000円の累積利益になります。20万通貨のポジションなら、1年後には約180,000円、3年後には約550,000円になります。

ただし、レートが下落した場合は、このスワップポイントの累積額よりも含み損が小さくなければ、トータルで利益が出ることにはなりません

次に、初期投資額(証拠金)とポジション数を場合分けし、ロスカットの危険性が比較できるよう、試算してみましょう。

レートがいくらまで下がると、強制ロスカットになってしまうかの目安となります(参考値として、レバレッジも記載します)。下記の条件でシミュレーションします。

計算の条件

  • 「TRY/JPY」=15円で買いポジションを建てる
  • 必要証拠金6000円/1万通貨
  • ロスカット基準は証拠金維持率100%
強制ロスカット(証拠金維持率100%)レートとレバレッジの試算
10万円 30万円 50万円 100万円
1万通貨 5.6円(1.5倍) ロスカットなし ロスカットなし ロスカットなし
5万通貨 13.6円(7.5倍) 9.6円(2.5倍) 5.6円(1.5倍) ロスカットなし
10万通貨 14.6円(15倍) 12.6円(5倍) 10.6円(3倍) 5.6円(1.5倍)
20万通貨 保有不可 14.1円(10倍) 13.1円(6倍) 10.6円(3倍)

※表内の「保有不可」は証拠金不足、「ロスカットなし」は強制ロスカットされない証拠金とポジション数の関係性であることを示します。

たとえば10万円の証拠金で、10万通貨のポジションを持った場合、レートが14.6円になると強制ロスカットとなります。

レバレッジが高いと(この条件のレバレッジは15倍)、たった0.4円の下落で強制ロスカットになってしまうのです。

表内に赤で示した条件は1円未満の下落、黄色で示した条件は約1.5~2.5円の下落で強制ロスカットとなってしまいます。これらは、安全な運用とは言い難いでしょう。

強制ロスカットされない下落幅として、5円や10円を想定するとしたら、ポジション数は少なくしなければならないということが分かります。

計算方法は、以下の条件を用いることにします。

  • 1トルコリラ=21円
  • スワップポイントは1日120円/1万通貨
  • トルコリラの年間変動幅を10円(1年間で最大5円の下落を想定)
  • 必要証拠金8000円/1万通貨
  • ロスカット基準が証拠金維持率80%

「年間変動幅」とは

年間変動幅とは、1年間でトルコリラが動く上値と下値の幅です。つまり今回は16円〜26円の幅でトルコリラが動くと想定します。

トルコショック時に5円ほど下落したため、トルコショックに耐えうる運用状態を想定していますがあくまで想定ですので、予想以上の下落が起こる可能性を否定するものではありません。

レバレッジのかけすぎには注意!リスクを抑えた運用方法

先ほどの試算では、レバレッジ3倍(証拠金50万円で10万通貨、証拠金100万円で20万通貨)でも、5円の下落があれば強制ロスカットになることが分かりました。

強制ロスカットされない下落幅として、5円を想定するとしたら、レバレッジは3倍よりもずっと低くしなければなりません。10円を想定するとしたら、レバレッジはほぼ1倍に近い水準になります。

2021年1月時点で約20円前後の「TRY/JPY」に対して、どこまでの下落を想定するかは、投資家の判断によるところですが、史上最安値を更新し続けていることは、必ず考慮すべきでしょう。

ちなみに、実際の取引では、スワップポイントが証拠金に加算されていくため、上記試算よりも余裕が生まれる可能性はあります。

とはいえ、レバレッジ3倍程度では、安全とは言い難いということは、理解しておくべきでしょう。

長期運用なら自動売買や積み立ても選択肢に

じっくり長い期間をかけて増やしていくなら、自動売買という手段もあります

FXはもともと相場が24時間動いているため、機械が自動的に取引をすることで、全ての時間帯をチャンスに変えることができます。

自動売買はどんな相場の状況になろうと、あらかじめ決めていたルールを崩さずに売買を続けるので、大きく動く相場に乗って大きく増やすというような取引はあまり得意ではありません。

そのかわり、淡々と一定のルールに基づいて運用を続けるため、安定感はあります。

年単位でじっくり増やしていくのに向いている点は、スワップ運用と似ている部分があります

自動売買にはいくつかのタイプがあるのですが、証券会社のシステム内で稼働する(=自分のパソコンやスマホを動かしっぱなしにしなくてよい)ものと、自分のパソコンのMT4上で動くものがあります。

また、長い時間をかけての運用という意味では、SBI FXトレードの積立FXという商品もあります。

購入する通貨、1か月の予算、購入頻度、レバレッジを決めておくことで、あとは自動的にシステム側が積立をしてくれます。

一発で予算を使い切ってポジションを取るのではなく、定期的に新規エントリーをしていくことで、購入価格はその期間の平均価格になり、始めるタイミングによる有利・不利がなくなります。

もちろんスワップポイントが受取りになる通貨を選べば、売買益とスワップ益の両方を狙えますので、長期運用の手段として検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

鹿内武蔵

FXライター

鹿内武蔵

SHIKAUCHI MUSASHI

略歴

国内唯一の月刊FX情報誌、FX攻略.comの元副編集長として、2008年の創刊時より取材・編集・執筆に携わる。 多くの勝ち組トレーダーや証券会社を取材してきた経験を活かし、FXが国民的投資になることを目標に活動中。各種メディアでの執筆の他、トレーダーとしてFXの運用も行っている。 →エフプロ執筆者・監修者一覧

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