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「FXは理系の人にも向いている説」について経済学部と工学部の先生に聞いてみた!

FXを攻略するためには「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」が必要ですが、特にファンダメンタルズ分析においては「経済学」の知識が重要だというイメージがあります。

「俺は経済なんて詳しくないし…」と思う人もいるかもしれませんが、あきらめるのはまだ早い。もしあなたが理系の感覚を持っているなら、案外「FXに向いている」かもしれません。

そんな興味深い説について、日本大学経済学部の三井先生と、同大学理工学部を経て現在経済学部で活躍する戸塚先生にお話をうかがいました!

お話をうかがった人

日本大学三井秀俊教授

日本大学経済学部

三井秀俊 教授

MITSUI HIDETOSHI

略歴

東京都立大学助手、日本大学経済学部専任講師・助教授・准教授を経て、2015年より同大学経済学部教授。 この間、千葉大学大学院・一橋大学大学院・筑波大学大学院・埼玉大学大学院・上智大学大学院非常勤講師、 埼玉大学大学院客員准教授・客員教授、デューク大学客員研究員、博士(経済学)。 株式市場・デリバティブ市場・外国為替市場の計量分析を専門としています。 著書に『オプション価格の計量分析』, 『ARCH型モデルによる金融資産分析』(以上 税務経理協会)があります。

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日本大学経済学部

戸塚英臣 講師

TOTSUKA HIDEOMI

略歴

日本大学理工学部助手、2018年より日本大学経済学専任講師。博士(工学)。
研究テーマは、第一原理計算に基づく電子伝導シミュレーション、MCMCを用いた時系列モデルのベイズ推定など。

当サイトでは広告プログラムにより収益を得ています。なお、記事内で紹介された商品への申込みがあった場合には、売上の一部が当サイトに還元されることがあります。

理系の人はFXに向いている?その理由とは

編集部:三井先生は「理系の人にもFXは向いているのではないか」とお考えだそうですね。まずは、そう考えるようになった理由を教えていただけますか。

三井:FXで利益を上げるというのは「この指標だけを見ればいい」とか、「この手法さえ行っていればいい」といった、甘い世界はありませんよね。実際にFXの予測は非常に難しいですし、決まりきった方法で成功するようなものではありません。

そのため、FXで成功するには「自分で仮説を立てて検証をする」という作業をしていかないとうまくいかないと思います。

この「検証を行なって修正していく」というのは理系の大学では基本的に身に付ける素養だと思います。そのため、そのような素養を持っている方、つまり理系の方にも向いていると思うのです。

編集部:なるほど。戸塚先生は、この説についてどう思いますか。

戸塚:そうですね、うちのゼミ生の子たちと話していても、やはり理系ではない学生はデータに触れる機会が少ないのかなと思います。データをグラフから読み取るとか、表から読み取る機会が少ない。

単純に「今日と昨日でいくら変わった」といった為替変動の値の変化を見るだけなら良いのでしょうけれど、「差を取ってみてその差がどう変動するか」「データを加工することで何が見えるか」っていうことに対しては、経験が少ないんじゃないでしょうか。

編集部:ベテランのトレーダーには「検証の大切さ」を訴える人が多いですが、検証は地道な作業なので、嫌う人も少なくありません。
しかし理系の人は、そういったデータに触れることを日常的にやっている、ということなのですね。

戸塚:考え方が「まずデータありき」なので。

また、データをただ見るだけでなく、移動平均のように加工してグラフ化することで、どのデータが抜け落ち、逆にどのデータが際立って見えるのかという分析をするんですね。

そういう意味で、理系の人間にとっては当たり前にやっていることだと思います。

三井:理系の学部を卒業している方であれば、グラフや数字を見ることに対して嫌悪感がないのでは、と思いますね。

編集部:確かに、検証作業を「面倒だな」と感じるか、興味を持ってやれるかの違いは大きいでしょうね。当然、興味を持って取り組んだ人の方が、トレード手法を見出すのも早いのではないかと思います。

三井:理系の方って「研究ノートと実験ノートをきちんとつけなさい」という教育を受けていると思います。そうすると、FXについても自分の投資履歴や、自分がポジションを持った時にどういう経済環境だったか、どういう考えで取引を行なったのかなどをきちんと記録する習慣がつきやすいと考えられます。

確率的に変動しているものを検証するには、記録をつけて振り返る必要があります。ですから、投資ノートをつけるというのは重要です。

戸塚:研究ノートや実験ノートは、論文に使うデータを証明するときにも必要になります。「この日こんな実験をして、このようなデータが得られた」ということが書いてあって、検証することができるんです。

「過去にこういうことをやったな」と、自分が見返すときにも必要なものだと思います。

三井:また、「自分の性格が投資結果に結びつく」というのがわかるのも、記録をつける良さだと思います。人の性格にもいろいろあると思いますが、性格はかなりトレードに影響すると考えられています。

それを理解するためには、自分がどういうトレードをしていて、何か不測の事態が起こった時に自分はどういう対処をしたかなどを書いておかないと忘れてしまいます。そのため自分自身のトレードを改善していくことができなくなります。

「科学的に相場の予測はできるのか」について

編集部:ベテラントレーダーが「こうしなさい」と言っていたハウツーは、学術的な見地からも大事だったということなんですね…。
先生方はそのように学術的に為替相場を研究されていますが、はたして科学的に「相場の予測」はできるものなのでしょうか?

戸塚:率直に言わせていただくと、難しいと思います。経済の場合、「同じ条件で同じことが何度も起こる」ことはあり得ないので、予測というよりは確率的な意味での期待値を求めることはできると思うのですが。

編集部:ううむ、やはりそうなのですね。確かに、経済は世界中の国々と複雑に絡み合っていて「同じ状況」というのはあり得ないですからね…。
「科学的にそういった予測ができるのでは?」なんて甘いことを考えてしまいました。

三井: だからこそ、最初に言った「仮説を立てて検証する」という作業に結びつくわけです。予測ができないからこそ、「仮説の検証」の繰り返しをしてやっていくしかないと思います。

編集部:アカデミックな見地からも「相場の予測は難しい」ということが明確になっているのですね…。
ちょっと残念ですが、そういう理系の考え方がベースにある人は「必勝法」をうたうような怪しい情報商材などに惑わされるようなこともないのでしょうね。

三井:そうですね。理系の方であれば、「きちんと事象に向き合って観察する」ということができるのではないでしょうか。

戸塚:例えば、ドル円とかユーロポンドとかいろんな通貨ペアを見て、ドルとその他の通貨との関連性が強いか弱いかっていうのは客観的なデータですよね。傾向として「これとこれは連動しているけどこれとこれは連動していない」っていうのは、意味があるデータだと思います。

ただ、一つのものだけを見て「絶対こうなる」とは言えない。あくまで、何かのデータと何かのデータの関連性という意味であって、決定論的な方程式ではありません。

編集部:マジメに検証に取り組むことの大切さを、あらためて教えていただいたような気がします。何事も「手っ取り早い近道」なんてないということですね。

戸塚:エクセルレベルでいいので、簡単に相関、散布図を書くとか。ちょっとデータを分析してグラフにしてみるとかができるとすごくおもしろいと思います。

経済学部の学生にはデータをグラフにするおもしろさを体験してみてほしいと思うのですが、おもしろいと思ってるのは先生だけなのかも(笑)。

でも、ほんとにこんなにコンピューターが普及して、こんなに簡単にエクセルが使える。フリーのソフトにも便利なものがあるのに、もったいないなと思いますね。

三井:私のゼミでは「株式学習ゲーム」を授業に取り入れています。日本証券業協会と日本 取引所グループ(JPX)が主催しているものです。ゼミでは単に取引をして利益を競うのではなく、僕が投資記録用フォーマットを作って、売買した時に「なぜ買ったのか」、「なぜ売ったのか」、ドル円相場、日経平均株価、テクニカル指標などを記録させるようにしています。

このようにゼミで株式学習ゲームを行なう際にも、記録を残して反省し改善点を見つけ、次の取引に活かしていくと、投資の成績が非常に良くなります。

編集部:ううむ、ますます「記録を残さねば」と思うようになってきました。僕は理系の人間ではないのですが、理系の考え方が非常に大切だということはわかった気がします。まずは素直にデータに向き合うところから始めてみます!
本日はありがとうございました!

まとめ

いろいろお話をうかがってきましたが、確かに「データやグラフを見ること・作ること」が好きな人はFXに向いているのかもしれません。

FXビギナーは「これだけ見ていればOK」とか「必勝法」などを追い求めがちですが、学術的見地からは「あり得ない」というのが結論とのこと。きちんとマジメにFXに向き合うためにも、アカデミックな観点は必要なのかもしれませんね。

この記事の執筆者

エフプロ編集長 斎藤直人

エフプロ編集長

斎藤直人

SAITO NAOTO

略歴

編集者歴19年。主に紙媒体で編集経験を積み、趣味系雑誌4誌の編集長を歴任。雑誌の特集記事だけでなく、企業とのタイアップ企画、地域活性化事業への参画など、コンテンツ制作力を活かして幅広いフィールドで活躍。国会議員、企業の重役、スポーツ選手、芸能人などジャンルを問わず幅広いインタビュー経験を持つ。現在は株式会社キュービックのエディターとして、エフプロを中心に記事クオリティ向上に尽力中。

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