一目均衡表って何?
一目均衡表とは、「時間」を重視したトレンド系インジケーターです。 最大の特徴は、時間軸で未来の方向にもインジケーターが表示されることです。そのため、一目均衡表を見ただけで現在から先に起こる値動きをイメージしやすくなります。
一目均衡表を形成するライン5つ
一目均衡表は「基準線(基本線)」「転換線」「遅行スパン」「先行スパン1」「先行スパン2」の5つのラインから形成されています。
5つのライン一覧表
ライン名 | 構造 | 特徴 |
---|---|---|
基準線 | 過去26本分のローソク足の最高値と最安値の平均 | 相場の方向性を示す |
転換線 | 過去9本分のローソク足の最高値と最安値の平均 | 相場の方向性の転換をいち早く示す |
遅行スパン | 現在のローソク足の終値を26本分戻り過去の位置に表示 | 先の損益状態を示す |
先行スパン1 | 基準線と転換線の平均をローソク足26本分先行させ表示 | 中期的な相場の動きを示す |
先行スパン2 | 過去52本文のローソク足の最高値と最安値の平均をローソク足26本分先行させ表示 | 長期的な相場の動きを示す |
➀【基準線(基本線)】相場の方向性を示す
「基準線(基本線)」とは、過去26本のローソク足の最高値と最安値の平均のラインで、相場の方向性を示しています。
「基準線」が上向きでローソク足が「基準線」より上にあれば強気相場とわかります。ローソク足が「基準線」を下抜けており、「基準線」も下向きであれば、弱気相場です。
また「基準線」が水平であればレンジ相場(ボックス相場、持ち合い相場)で、ローソク足が「基準線」を頻繁に上抜けしたり下抜けしたりしている状態です。
➁【転換線】相場の方向性の転換をいち早く示す
「転換線」とは、「基準線」の期間を短くした過去9本分の最高値と最安値の平均で引いたラインで、「基準線」よりも短期的な動きを示唆します。 「基準線」よりも先行して動くため、方向性の転換をより早く知ることができます。
「転換線」の見方も「基準線」と同様です。「転換線」が上向きでローソク足が「転換線」より上にあれば強気相場とわかります。ローソク足が「転換線」を下抜けており、「転換線」も下向きであれば、弱気相場です。
➂【遅行スパン】先の損益状態を示す
「遅行スパン」とは、現在の足の終値を26本分さかのぼって過去の位置に表示したなラインで、現在の価格と過去の価格を比較します。 「遅行スパン」が、26本後の終値を示しているということは、そのときに売買をした人が、「26日後にどのような損益状態となったか」を理解することになります。
➃【先行スパン1】中期的な相場の動きを示す
「先行スパン1」は、基準線と転換線の平均をローソク足26本分先行させて表示したラインで、中期的な相場の動きを示しています。
➄【先行スパン2】長期的な相場の動きを示す
「先行スパン2」は、過去52本分の最高値と最安値の平均をローソク足26本分先行させ表示したラインで、長期的な相場の動きを示しています。 「先行スパン1」とローソク足の支持線や抵抗線となる「雲」を構成します。
知っておきたい一目均衡表の注意点
相場の状況によっては、一目均衡表が何をあらわしているか判断がつかないことがあります。 例えば、為替レートが雲や転換線、基準線を飛び越えて大きく上昇、あるいは基準線を下に抜けて大きく急落し、乖離するような値動きになったとします。この場合、その先の相場がどうなるのか判断できなくります。
また、値動きが膠着した相場が続くと、、転換線、基準線、遅行スパンと雲とローソク足が複雑に絡み合って、一見しても何がなんだかわからない状態になってしまいます。
どういうときにおすすめの指標?
一目均衡表は複雑で難しい印象ですが、基本は「基準線」と「転換線」です。それは短期の「移動平均線」と中期の「移動平均線」によるトレンド分析です。 そのため一目均衡表は日足チャートを分析するために有効です。実際に一目均衡表を用いて取引するのならば、スイングトレードやポジショントレードに適しています。
逆に、数秒から数分という超短期で取引を行うスキャルピングトレードには不向きといえます。 また、一目均衡表はもみあい相場では役に立ちません。もみあい相場では「基準線」と「転換線」が頻繁にクロスして、いわゆる「ダマシ」が多くなります。 もみ合い相場のときは他のテクニカルを使うか、トレンドが発生するまで待つのが良いでしょう。
一目均衡表での取引手法!実践的な読み方解説
覚えておきたい一目均衡表とローソク足との位置関係
一目均衡表は現在、未来、過去の3つのステージに分類され、それぞれのラインの位置関係から相場を分析します。
- 現在は、「転換期」と「基準線」
- 未来は、「雲(先行スパン1・先行スパン2)」と「ローソク足」
- 過去は、「遅行スパン」と「ローソク足」
(1) 現在:「転換期」と「基準線」
「転換線」と「基準線」は、短期移動平均線と中期移動平均線です。「転換線」と「基準線」の位置関係で、トレンドの方向性を確認することができます。
- 「基準線」を「転換線」が上に抜く=上昇トレンド発生のサイン
- 「基準線」を「転換線」が下に抜く=下落トレンド発生のサイン
(2) 未来:「雲」と「ローソク足」
「雲」は、「先行スパン1」と「先行スパン2」に囲まれた部分のことです。 「雲」は、状況に応じて「抵抗帯」「支持帯」とも呼ばれます。特にトレンドが出ているときには、上値にあって上昇を阻む壁、下値にあって下落を防ぐ壁として強く働きます。
- 「ローソク足」が「雲」より上=「雲」は下値支持帯となる
- 「ローソク足」が「雲」より下=「雲」は上値支持帯となる
(3) 過去:「遅行スパン」と「ローソク足」
「遅行スパン」と「ローソク足」の位置と相場の関係性は以下のようになります。
- 「遅行スパン」が「ローソク足」より上=強気相場
- 「遅行スパン」が「ローソク足」より下=弱気相場
- 「遅行スパン」が「ローソク足」を下から上に抜ける=弱気相場→強気相場
- 「遅行スパン」が「ローソク足」を上から下に抜ける=強気相場→弱気相場
一目均衡表で見るポイントはココ!
一目均衡表を形成する5つのラインとローソク足の位置関係から、売買シグナルを見つけることができます。 強い買いシグナルを示すのは、「三役好転」のときです。 「三役好転」とは、以下の3つの条件がそろうことです。
- 「転換線」>「基準線」
- 「ローソク足」>「雲」
- 「遅行スパン」>「ローソク足」
強い売りシグナルを示すのは、「三役逆転」のときです。 「三役逆転」とは、以下の3つの条件がそろうことです。
- 「転換線」>「基準線」
- 「ローソク足」>「雲」
- 「遅行スパン」>「ローソク足」
実際に、ドル円の一目均衡表日足チャートを見てみましょう。
一目均衡表の「基準線」と「転換線」に注目すると、【黄色の楕円】の部分では「転換線」が「基準線」を下回っており、下落トレンドであることがわかります。逆に、【水色の楕円】の部分では「転換線」が「基準線」を上回っているので上昇トレンドであることがわかります。 「転換線」が「基準線」を上に抜けた時点で、トレンド転換したことが読み取れます。 時間が経過して【水色の楕円】を過ぎると、「転換線」が「基準線」を下に抜けますが、その後、また上に抜けています。その時点では、持ち合いに推移したことがわかります。
また、【黄色の楕円】のゾーンでは、「日々線(ローソク足)」が「雲」の下にあるので、「雲」が上値の「抵抗帯」となっていました。 【水色の楕円】のゾーンになると、「日々線(ローソク足)」が「雲」を上に抜けていますが、その際に、上昇トレンドに転換したことを示しています。 【水色の楕円】のゾーンの後半部分では、
- 「転換線」>「基準線」
- 「日々線(ローソク足)」>「雲」
- 「遅行スパン」>「ローソク足」
この3条件が揃っている部分があります。つまり、「三役好転」の強い買いシグナルを示していたことになります。
【実践】一目均衡表を使ってチャートを分析してみよう
【練習問題】
ユーロドルの一目均衡表日足チャートです。 このチャートを見て、どのように考え、判断して、どこで売買の注文を入れるのが適切かを考えてください。
【答え】
このチャートの場合、【黄色の円】のところで「売り」を行います。なぜなら、三役逆転の3つの条件がそろい、強い売りシグナルを発しているからです。
- 「転換線」>「基準線」
- 「日々線(ローソク足)」>「雲」
- 「遅行スパン」>「ローソク足」
初期のユーロドルは、高値圏で上下動を繰り返してもみ合い相場を形成しています。 この高値圏では「基準線」が横這いに推移しており、「転換線」は上から下に抜けたり下から上に抜けたりしています。 一目均衡表において、もみ合い相場では「基準線」と「転換線」が頻繁にクロスして、いわゆる「ダマシ」が多くなることを述べましたが、その典型的なパターンです。
もみ合い相場なので、トレンドが発生するまで待つタイミングです。 チャートを見ると、「雲」が徐々に上昇しています。 当初は、この「雲」の上に「ローソク足」があるので、その時点で、この「雲」は下値支持帯を意味しています。
「雲」が上昇するに従い、「ローソク足」が「雲」に入り込み、そして、「ローソク足」が下落することで、「雲」を下に抜けています。 「ローソク足」が「雲」を下に抜けたポイントを【黄色の円】で示しました。「ローソク足」が「雲」を下に抜けた時点で、「基準線」と「転換線」を比較すると、「転換線」が「基準線」を下回っており、下落トレンドを示しています。 遅行スパンがローソク足より下にあるので、弱気相場であることも示しています。
実際に、添付チャートに示した【黄色の円】のところで「売り」を行った場合は、その後の相場が大きく下落しているので、大きく利益を見込めると考えます。 その後の値動きを見ると、添付チャートに【水色の楕円】で示したように、再びもみ合い相場を形成しています。 この【水色の楕円】のゾーンでは、「基準線」の傾きが徐々に緩やかになり、水平に変化したことが読み取れます。「転換線」も「基準線」に絡むような動きになり、相場がもみ合い相場になったことを示しています。