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マネックスFXの特徴とマネックスFX PLUSとの違い
マネックスFXとは、株式・証券などの金融サービスを提供しているマネックス証券のFXサービスのことです。マネックスFXの特徴について、同社のFXサービス「マネックスFX PLUS」との違いを絡めながら説明します。
マネックスFXは専用口座を作成する必要あり
マネックスFXは、FX専用口座を作成する必要があります。一方、マネックスFX PLUSは、マネックス証券の総合口座を作成し、その下にマネックスFX PLUS用の口座を作る、という構成です。株や証券など、他の金融サービスにも興味がある場合はマネックスFX PLUS、FXサービスをメインに使う場合はマネックスFXが適しています。
10,000通貨までならマネックスFXの方がスプレッドは狭い
マネックスFXは、取引数量によってスプレッドに違いがあります。一方、マネックスFX PLUSは原則固定で一部例外がある設定です。
両者のスプレッドを比較すると、おおむね10,000通貨までの取引の場合はマネックスFXの方がスプレッドは狭く、10,000~100万通貨まではマネックスFXとマネックスFX PLUSは同じスプレッドに。100万通貨を超える取引の場合は、マネックスFXの設定しているスプレッドの方が広くなる傾向があります(通貨ペアによっても異なる)。
両者とも最小取引単位は1,000通貨ですが、1回の最大取引通貨量はマネックスFXが200万通貨、マネックスFX PLUSが300万通貨。
スプレッドと1回の最大取引通貨量から判断すると、100万通貨を超える大量のFXトレードを行いたい場合は、マネックスFX PLUSを、10,000通貨以下の取引が多い場合はマネックスFXという選択となります。
未決済スワップポイントの再投資が可能で長期投資に向いている
この特徴は、マネックスFX・マネックスFX PLUSどちらにも当てはまりますが、未決済スワップポイントは証拠金の余力として算入されるため、スワップポイントを貯めての再投資が可能です。
マネックスFXは最大レバレッジの設定が可能でロスカットや追証にも影響
マネックスFXは、最大レバレッジを1倍・2倍・5倍・10倍・25倍のいずれかに設定できます。一方、マネックスFX PLUSは25倍固定です。法人口座については、どちらも100倍まで設定可能です。
最大レバレッジを指定できる影響で、ロスカットの証拠金維持率や追加証拠金制度(以降は追証と呼びます)の適用・発動する条件なども、マネックスFXとマネックスFX PLUSで違います。
マネックスFXで行うFXトレードの基礎知識
ここからは、マネックスFXで行うFXトレードの基礎知識として、主な取引ルールについて解説します。
通貨ペア数は16種類と少なめだが主要な高金利通貨には対応
マネックスFXで取引できる通貨ペア数は16種類とあまり多いとは言えません。クロス円通貨が12通貨、ドルストレートが4通貨です。ただ、高金利通貨として人気のある南アフリカランド円、トルコリラ円、メキシコペソ円は対応しており、長期トレードでスワップポイントを貯めたいというトレーダーのニーズにも応えられるラインナップです。
最大レバレッジ倍率とロスカットが任意で設定できる
先述した通り、マネックスFXは自分で最大レバレッジ倍率とロスカットの証拠金維持率を任意に設定できます。
最大レバレッジが25倍の場合は、ロスカットの証拠金維持率は50%、60%、70%、100%の4種類から選択。設定を10倍以下にすると、ロスカットに設定できる証拠金維持率に30%、40%が追加されます。
追加証拠金制度(以降は追証と呼びます)についても、マネックスFXは、最大レバレッジ設定が10倍の場合、証拠金維持率40%で発動し、1倍・2倍・5倍については追証の対象外です。レバレッジ25倍の場合、追証は100%の場合に発動します。
レバレッジの低い取引の場合は、ロスカットの証拠金維持率を低くして資金効率を上げ、含み損になっても時間経過で戻りを待つことができる、という仕組みです。
デモ取引は取引ツールのうち3種類のみ対応
マネックスFXには、取引ツールが4種類あります。それぞれの特徴を端的に説明すると以下の通りです。
- MonexFXブラウザツール:基本ツールで入出金や各種設定など本ツールのみ可能な機能も多い
- MonexFX SPEED Lite:シンプルで直観的に操作できるWeb版ツール
- MonexFX SPEED:高機能でプロのニーズにも応えるWeb版ツール
- MonexFX SPEED for Smartphone:スマートフォン用の取引ツール
この中で、デモ取引で操作感を確認できる取引ツールは、Web版の3ツールのみです。スマートフォンや携帯電話での動作確認は、本口座開設後となります。
外貨の両替(コンバージョン)や現物受渡決済(デリバリー)が可能
マネックスFXでは、外貨の両替や現物受渡決済ができます。現物受渡決済とは、保有ポジションの決済をする際、通常の差金決済ではなく「現物の外貨を受け取る」という決済方法です。これらのサービスを利用するメリットは、海外へ渡航する際、都市銀行よりも割安で外貨を入手できる点にあります。
両替では、入金した日本円を、通常レートの売値と買値に、各20銭(外貨の場合20セント) を加減算したレートで計算します。都市銀行の場合は加減算する金額が2~3円なので、両替する金額によっては手数料にかなりの差が出ます。
外貨の出金は一律2,000円かかるため、手数料は、1通貨単位あたり20銭または20セント×引き出す外貨金額+2,000円です。
現物受渡決済をするには、FX口座内に外貨の現物がなくてはいけません。FX口座に日本円しかない場合は、決済したい金額分の外貨を両替しますので、デリバリーとコンバージョンを同時に利用する場合、手数料はコンバージョンにかかる手数料+1,000通貨当たり200円、となります。
ただし、ポジションを保有することになるため、手数料を節約できても為替差損が出る場合もある点には注意しましょう。
マネックスFXで可能な注文方法
マネックスFXではどのような注文方法が可能でしょうか。ここでは、特徴的な注文方法について解説します。
ファスト注文と成行注文
ファスト注文とは、許容スリッページを指定しつつ、レートを見て任意のタイミングで注文する方法です。注文後に許容範囲を超える相場変動があった場合は約定しません。
成行注文は、スマートフォン用ツールと携帯電話用ツールでのみ可能な注文方法で、許容スリッページの指定なしで、成行で注文します。成行注文は、想定外のスリッページが発生して、不利なレートで約定する可能性があります。
ファスト注文は、想定外の不利なレートでの約定を防げますが、注文が不成立になるかもしれません。成行注文は、注文はほぼ通りますが、想定外の不利なレートで約定する可能性があります。
クイック注文は新規・決済の区別がない注文方法
ファスト注文と似ていますが、注文に新規・決済の区別がありません。保有しているポジションに対して反対売買の注文を出すと、自動的に約定日時の新しいポジションから順番に決済されます。この動きはLIFO(Last In First Out)と呼び、マネックスFXでは動きを変えることはできません。
たとえば1万通貨の売りポジションを持っているときに2万通貨の買い注文を出すと、1万通貨の売りポジションは決済され、新たに1万通貨の買いポジションを持つことができる注文方法です。
新規・決済どちらにも使えるトレール注文
トレール注文とは、決済ポイントをトレンドに追従させて動かし、できるだけ利益を伸ばしていくことを狙った注文方法です。マネックスFXでは、新規注文時にもトレール注文が使えます。
新規注文時のトレール注文は、買いの場合なら少しでも安値で、売りの場合は少しでも高値でポジションを持てるように動きます。
デリバリーを指定した決済注文
保有しているポジションをMonexFXブラウザツールで見ると、建玉一覧に「デリバリー」というボタンが表示されます。このボタンをクリックすることで、現物受渡決済が可能です。ただし、現物受渡決済をする場合は、FX口座に決済する金額に相当する外貨を用意しなければなりません。
米ドルでの決済を希望する場合は、あらかじめ「口座管理」メニューの中にある「コンバージョン」機能を利用して、日本円から米ドルへの両替を済ませておきましょう。最低通貨単位の1,000通貨をドル円(1ドル100円の場合)で保有していた場合、現物受渡決済をするには1,000ドル分のコンバージョンが必要です。
コンバージョンをしてから「デリバリー」にて決済をすることで、FX口座から出金手続きができるようになります。このとき、指定する銀行口座は、外貨預金ができる口座にしておくように注意しましょう。これで、外貨預金の通帳から外貨を引き出すことができるようになります。
マネックスFXの提供している取引ツール・アプリの特徴
マネックスFXの提供している取引ツール・アプリのうち、Web版の3ツールについて、それぞれの特徴を解説します。
チャート関係の機能が豊富な「MonexFX SPEED」
高機能でチャート関係の機能が豊富なMonexFX SPEED。カスタマイズ性の高さやチャート上からの注文が可能な点など、取引をする際には出番が多くなるツールです。ここまで高機能な取引ツールは、PCへインストールするタイプも多いのですが、本ツールはWebブラウザで動き、インストールの手間もかかりません。
デリバリーや入出金処理などは「MonexFXブラウザツール」のみ可能
マネックスFXを利用する際、基本となるツールがMonexFXブラウザツールです。このツールは、入出金、デリバリー、各種設定など口座全体にかかわる機能は本ツールでしか扱えないため、他のツールに慣れたとしても、利用シーンは多くあります。テクニカル分析やチャート表示、注文画面はシンプルです。
シンプルかつ操作性を追求した「MonexFX SPEED Lite」
MonexFX SPEED Liteは、MonexFX SPEEDをベースに、さらにシンプルな画面構成で操作性を追求した取引ツールです。チャートを見ながら注文できる画面構成になっているほか、タブレット端末でも操作が可能です。
マネックスFXを利用するメリット3つ
ここまで紹介してきたマネックスFXですが、利用するメリットには何があるでしょうか。メリットを4点にまとめましたので解説します。
長期投資しながらデリバリーで海外ATM利用も可能
マネックスFXは、外貨両替と現物受渡決済が可能です。そのため、長期投資をしながら外貨が必要になったら外貨預金の銀行口座に出金をして、海外ATMで現金を引き出す、という使い方ができます。
定期的に海外へ行く用事があり、外貨として米ドルまたはユーロを利用する、という場合には、両替手数料が都市銀行より安くなり、トータルで両替コストを低く抑えられます。
気が付かないうちに高レバレッジになっていたというリスクを軽減できる
最大レバレッジを指定することができるため、想定外の高レバレッジで運用していた、という心配がない点も、マネックスFXを利用するメリットです。
資金が減った状態でLot数を減らさずにトレードしていると、気付かないうちにハイレバレッジになってしまう可能性もありますが、マネックスFXはそういった事態を避ける設定が可能です。
デモ取引や1,000通貨からの取引などができる
マネックスFXは、デモ取引でツールの操作感やFXトレードの基本についてじっくり学べる環境が整っています。また、最低取引通貨単位も1,000通貨からのため、最大レバレッジ25倍コースで1ドル=100円の取引を行う場合は、証拠金は約4,000円で運用できます。
ただし、レバレッジ25倍というのは非常にハイリスクでロスカットや追証の関係もあるため、実際に自己資金としてFX口座に入金する場合は、最低でも2万円程度は入金しておいた方が無難です。
マネックスFXのデメリット
マネックスFXを利用するデメリットは、通貨ペア数が少な目であること。
クロス円通貨は13通貨と数多くそろっているのに比べて、ドルストレートは3通貨(ドル円を除く)しかサポートされていません。ドルストレートの通貨ペアで取引をしたいというトレーダーにとっては、若干不満が残るラインナップです。
マネックスFXを利用する際の注意点
上記のデメリットがあるため、通貨ペア数の多さを求めている人は注意が必要です。
取引したい通貨ペアがない場合に関しては、マネックスFX側の対応を待つしかありません。もっといろいろな通貨ペアで取引をしたいという場合は、通貨ペア数の多いFX会社との併用(つまり複数口座の運用)も検討してみてはいかがでしょうか。