目次
メキシコペソってどんな通貨?
「メキシコペソ」は、その名のとおりメキシコの通貨です。世界共通の通貨コードは「MXN」で、日本円との通貨ペアであるメキシコペソ円は「MXN/JPY」と表記されます。
メキシコは北アメリカ大陸の南部に位置し、原油や天然ガス、銀など豊富な天然資源に恵まれた新興国で、アメリカ経済の影響を受けやすい特徴があります。これは、メキシコの輸出・輸入の巨大貿易国が隣接しているアメリカであるためです。
メキシコ経済は米国に依存しているといっても過言ではなく、メキシコペソを取引する上で米国の景気動向には目を向ける必要があります。
知っておきたい!ここ数年の「MXN/JPY」の推移
「MXN/JPY」のチャートをみると、2016年~2019年はおよそ5~6.5円のレンジ相場でした。
5円前半は買い意欲、6円前半は売り意欲が強く、レンジ内での推移がしばらく続いていたのですが、2020年に入ると新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避の動きや原油安の影響を受け、3月にはレンジの下限である5円を割り込みました。足元では4円台後半という歴史的低水準で推移しています。
この水準を底値圏と捉えることもできなくはないですが、新型コロナウイルスは今のところ終息の見通しが立っておらず、その影響からメキシコペソ円は今後さらに下落するリスクもある点に注意が必要です。
続いては、スワップ運用の観点からメキシコペソについて解説していきます。
他の高金利通貨と比較!スワップ運用という観点で見るメキシコペソ
メキシコペソは、現在(2022年3月時点)の政策金利が「6.0%」です。
他にも高金利な通貨としてはトルコリラ(政策金利:14%)や南アフリカランド(政策金利:4.0%)がありますが、メキシコペソには他の高金利通貨とは違う特徴があります。具体的には、以下の2点が挙げられます。
メキシコペソの特徴
- レートの変動幅が狭い
- 他の高金利通貨よりも少ない資金で運用できる
特徴①レートの変動幅が狭い
過去10年(2010~2020年)の値動きをみると、約4.2~8.7円と「約4.5円の値幅」です。トルコリラ円は10年で約50円、南アフリカランド円は約7円の値幅なので、比較するとメキシコペソ円が変動する値幅の狭さがわかるのではないでしょうか。
もちろんこれは、もともとメキシコペソ円の価格が安い影響もあります。しかしいずれにせよ、長期で通貨を保有することが多いスワップ運用を行う上で、価格の大きな上下動はリスクとなります。
その点、メキシコペソ円は他の高金利通貨よりも変動幅が狭く、値動きが安定しているので、スワップ運用に向いていると言えます。
実際に、メキシコの格付けは他の高金利国と比較しても高く評価されています。
格付けは発表されるたびに変化するため一概には言えませんが、メキシコは他の高金利国よりも高い信頼度を得ているのです。
「格付け」とは
国家の安定性や信用度を図る際に用いられる指標のこと
特徴②他の高金利通貨よりも少ない資金で運用できる
メキシコペソは円換算価格が安く、必要な証拠金はトルコリラ円や南アフリカランド円よりも少なくて済みます。
1メキシコペソは現在4円台ですが、1トルコリラは約15円、1南アフリカランドは約6円のため、同じ資金量ならトルコリラや南アフリカランドよりも多くのポジションを保有することができます。
通貨 | 1通貨あたりの金額 | 最低必要な証拠金※ |
---|---|---|
メキシコペソ | 4円台 | 約1,900円 |
トルコリラ | 15円台 | 約6,000円 |
南アフリカランド | 6円台 | 約2,400円 |
※1万通貨取引でレバレッジ25倍の場合
※2021年1月時点
たとえば、1万通貨を取引(レバレッジ25倍)するのにトルコリラ円では6,000円程度、南アフリカランドでは2,400円程度が必要ですが、メキシコペソ円だと1,900円程度と最も安く済みます。
もちろん、上記の金額はレバレッジ25倍の場合でありロスカットされる可能性が高いため、実際にはもっと資金が必要です。ただ、「同じ資金量ならトルコリラや南アフリカランドよりも多くのポジションを保有できる」という特徴があるのは事実です。
それでは、実際に「スワップポイント狙い」でメキシコペソ円を長期保有すると、いくらスワップポイントを受け取れるのか試算して紹介します。
スワップポイントの試算・比較をしてみた!
レバレッジの計算方法では、下記2つの計算式を使用します。
スワップポイントの計算式
- 1年間のスワップポイント
- 為替レート×保有通貨数×金利差
- 1日のスワップポイント
- 1年間のスワップポイント÷365日
1メキシコペソ=4.8円、初期投資金額を100万円、スワップポイントは1日7円(1万通貨あたり)とした場合の試算がこちらです。
レバレッジ | 0.48倍 | 0.96倍 | 1.44倍 | 1.92倍 | 2.4倍 |
---|---|---|---|---|---|
Lot数 | 10万通貨 | 20万通貨 | 30万通貨 | 40万通貨 | 50万通貨 |
年間スワップポイント | 25,550円 | 51,100円 | 76,650円 | 102,200円 | 127,750円 |
資産増加率 | 2.56% | 5.11% | 7.67% | 10.22% | 12.78% |
計算すると上記の「年間スワップポイント」が見込めますが、スワップポイントは日々変動しますので、多少の増減はあります。
なお、金利の変動によりスワップポイントが変わり、場合によっては受取りが支払いに転じたり、保有ポジションの含み損がスワップポイントの利益を上回ってしまう可能性があることを念頭に置いて運用をしましょう。
レバレッジ0.48~2.4倍は、それぞれ取引数量(ロット)が10~50万通貨の結果です。メキシコペソ円でスワップ運用する際、資産増加率やロスカットの危険性を考慮すると、目安となるレバレッジは1.92倍あたりと言えそうです。
続いて、運用するためのポイントを具体例とあわせて紹介します。
【必見】メキシコペソの運用ポイントはレバレッジを1~2倍にすること!
上記の試算表を見て「もっとレバレッジをかければ、より多く利益を出せるのでは?」と思ってしまう方が多くいますが、安易にリスクを負ってはいけません。なぜなら、ロスカットの危険性が高まるからです。
例えば、投資資金は100万円、ロスカットは証拠金維持率100%、1メキシコペソ=4.8円、メキシコペソ円で買いポジションを保有するとします。
この条件でレバレッジを約10倍まで高めて取引した場合、取引量は210万通貨、1日のスワップポイントは1470円になります。
この場合、年間スワップポイントは約54万円になりますが、為替レートが「4.504」になると(たった0.3円ほど下がっただけで)ロスカットされます。
このようにハイレバレッジで運用すると、ロスカットレートまでの値幅が狭い(FX口座の資金に余力がない)ため、スワップポイントを貯めるまでもなく損切りされてしまうのです。スワップ運用は長期継続が必要であるため、滅多なことでは運用が破綻しないような運用は必須です。
そもそも高金利通貨は金利が高くなっている反面、当該国の政治や経済に左右されやすく、情勢が悪くなるとその国の通貨は情勢が堅調な国の通貨(ドルや円など)に対して安くなる傾向があります。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴って高金利通貨はいずれも下落基調となっており、しばらくは値動きが荒くなるリスクもあります。
このようなリスクがあるため、高金利通貨を長期運用する際はロスカットにならないようにレバレッジを1~2倍以内に抑えることが重要なポイントになるでしょう。
ここからは、「スワップポイント狙い」という観点で見たときに、スワップが高く設定されているFX会社を3社紹介します。
スワップポイントでFX各社3社を比較
スワップポイント狙いでFX会社を探す際には、以下3つのポイントが前提条件になります。スワップポイント狙いでFX会社を探す際の3つのポイント
- スプレッドが安定しており、約定力が優れている
- →急変動でもしっかりと約定し、スプレッドが広がりづらいこと
- メキシコペソ円の買いスワップポイントが高い
- →買いポジション(MXN/JPY)のスワップポイントが高いこと
- FX会社としての実績がある
- →長期的にスワップ運用ができること
では、メキシコペソをスワップ運用が可能なFX会社を見ていきましょう。
※各社のスワップポイントは、1万通貨あたりの金額で表記しています。
「ヒロセ通商/LION FX」
ヒロセ通商は、ライオンのキャラクターでお馴染みのFX会社です。
現在のスワップポイントは「110円/日」(※2022年4月時点)で、取り扱っている通貨ペア数が50種類以上あるため、マイナー通貨から主要通貨まで幅広く取引ができます。そのため、複数の通貨ペアでスワップ運用したい場合、ヒロセ通商で口座開設する方が多くいます。
さらに、約定力が高く比較的スプレッドが狭い特徴があるため、大量のポジションを保有する場合も実質の手数料を安く抑えることができます。
決済するときのスリッページ(注文価格と約定価格の差)も少ないため、取引コストを抑えながら長期的なスワップ運用ができます。
また、さまざまなキャンペーンを実施しているのも特徴。
- パスタや和牛などの食料品
- 取引高によるキャッシュバック
- 季節ごとのイベント
- 他社からの乗り換え/新規口座開設
このような、取引することや条件を満たすことで商品や現金がもらえるキャンペーンを多く実施しています。
スワップ目的のポジションを保有しながら多様なキャンペーンを利用することができます。
FXプライムbyGMO
FXプライムbyGMOは、元は伊藤忠商事が親会社でしたが、2012年からはGMOグループが運営しているFX会社です。
現在のスワップポイントは「8円/日」です。(2022年4月時点)
また、GMOクリック証券の最低取引単位は1万通貨からですが、FXプライムbyGMOは「1,000通貨の取引」に対応。お試しでスワップトレードを始めたい方でも運用経験を積むことができます。
「トルコリラ」「メキシコペソ」「南アフリカランド」をすべて取り扱っているため分散投資(複数の通貨ペアのポジションを持ち、投資資金を分散すること)によってリスク管理しつつ、長期的にスワップ運用する人も多くいます。
みんなのFX
みんなのFXは、現在のスワップポイントが「9.1円/日」(2022年4月時点)で、他の通貨ペアもスワップポイントが高い傾向があります。
また、FX初心者向けのサービスが充実しています。
- コースレベルが選べるセミナー
- 会場まで行かなくても参加できるオンラインセミナー
- 24時間対応のメール、電話サポート
- シンプルで使いやすく、カスタマイズ可能な取引ツール
以上のようにサポート体制が整っているという特徴を持っています。
この記事のまとめ
- メキシコペソでスワップ運用するなら、レバレッジは1.92倍が一つの目安
- 新型コロナウイルスの影響もあり、メキシコペソを含む高金利通貨は全般的に下落傾向。リスクも高いので要注意