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人の心理を利用したトレンド別トレード戦略|ベテランFXディーラー 松田 哲

はじめての取引のすすめ

外貨売り日本円買いをためらわない

FXは為替変動で利益を上げるもの。だから、下降トレンドが続くなら売り主体で取引することが一般的です。為替差益とスワップポイントで2度利益を上げるのは、円安トレンドが明確なときだけです。

低金利の日本円を売って高金利の外貨を買い、スワップポイントを得たいというのが、多くの人がFXを始める理由になっています。

しかし、FXの取引は、あくまで為替の変動によって利益を上げるもの。円高トレンドが続くようなら、たとえスワップポイントはマイナスでも、外貨を売って日本円を買う取引をためらってはいけません

各国の政策金利というのはその国の物価上昇率(インフレ率)と連動しています。名目金利が高い国というのは物価の上昇スピードも早く、いかに高金利でも物価上昇率がそれを上回ると、実質金利はマイナスになってしまいます。たとえば、名目金利が年5%あっても、物価が年10%上昇していたら、お金の価値は毎年5%ずつ減少していくのです。

日本には、まだデフレ傾向が残っています。だから、日銀がさまざまな金融緩和策を採っても、なかなか目標の2%インフレ率に到達しません。

物価が上昇しないので、相対的にお金の価値が高い止まりし、日本円の表向きの名目金利は低いのですが、実質金利は高いことになります。

高金利通貨もトレンドが下向きなら迷わず売る

世の中においしいだけの話はありません。もし、この世に為替変動がなかったら、高金利通貨は永遠に上がり続け、低金利通貨は永遠に下がり続けるはずです。

2008年のリーマンショックや2011年のギリシャ危機では高金利通貨とされていたの豪ドルや南アフリカランドが大暴落しました。

高金利通貨は取引高も少なく、「流動性リスク」といって、大規模な売りを浴びせられると買い手がまったくあらわれず、通貨が大暴落する危険性をたえず秘めているのです。

スワップポイントがプラスであろうがマイナスであろうが、「下がるものは売っていく、上がるものは買っていく」というのがFXで勝ち続けるためのセオリーなのです。

「上昇ジワジワ、下落はドスン」

人はすぐに利益確定したがるので上昇トレンドは小刻みな上下動を繰り返します。反対に損切りはいっせいに行われるので下降トレンドは急激な値動きになります。上昇トレンドと下降トレンドでは値動きが違うので売買戦略も変える必要があります

日常の生活同様、為替相場でも投資家の多くは「買い」の取引から入るものです。そのあと、予想通り為替レートが上昇したらさっさと利益確定するものの、予想と反して下落した場合はなかなか損切りできない傾向が強いのは、人間誰しも同じです。

ゆるやかな上昇と急激な下落を生む人間心理

 

そのため、上昇相場では、買って利益が出たらすぐ売り、また安くなったら買うという投資行動が繰り返されます。「買って売って、また買って」という小刻みな上下動を続けながら、ジワジワとゆるやかに上がるのが上昇トレンドの特徴といえます。

反対に、為替レートの下落は急激にドスンと落ちることが多いものです。なぜかというと、「人間は損切りが苦手」だから。買いから入った投資家の多くは為替レートが多少、下落してもすぐに損切りすることができません。しかし、ずるずると損失を抱えた買いポジションが大量にたまっている状態で、なにかの拍子に為替レートが急落すると、こうしたポジションの多くが損失に耐え切れなくなって、いっせいに投げ売りされます。まさに売りが売りを呼ぶ展開になり、「下落は急激にドスン」の引き金になるのです。

上昇トレンドでは「買っては売り」を繰り返す

そう考えると、上昇トレンドと下降トレンドでは同じFXの取引でも売買戦略を変える必要があります。

上昇トレンドでは、安値同士を結んだサポートラインまで為替レートが下落したら押し目買いし、その後、反転上昇したら利益確定する、という「買って売って」の繰り返しが基本になります。

ずっと長期保有してもかまいませんが、相場の上下動に合わせて、買いと利益確定を繰り返することで効率的に利益を上げることができます。

下降トレンドでは、極端な話、売りで利益を上げるチャンスは1回しかありません。為替レートがサポートラインを割り込んで、そのまま「急激にドスン」と急落する瞬間を狙いましょう

相場の急変動をとらえれば、1勝9敗の取引でも大きく利益を上げられますから、ダマされてもひるまず、何度も売りで挑戦することが重要になってきます。

この「上昇はジワジワ、下落はドスン」という傾向は米ドル/円や、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円といったクロス円通貨などに顕著です。そのほか、ユーロ/ドルやポンド/ドル、ドル/スイスフランなど、円がからまない通貨ペアにも当てはまる、普遍的な値動きのクセといえるでしょう。

高値安値のブレイクは損切りによって起こる

たとえば、米ドル/円が110円から111円のレンジ相場で推移することがはじめからわかっているなら、誰もが「110円で買って111円で売る」というレンジ相場の売買戦略を採用するはずです。

誰も「110円の安値で売る必要はないし、111円の高値で買うこともない」ので、相場は狭いレンジを上下動するだけで、ますます膠着して大きく動かなくなります。

こうした状況が続いたあと、ドル相場が1ドル108円まで下がったとしましょう。

多くの投資家は「110円では買い」というレンジ相場に対応した取引をしていましたから、含み損を抱えた買いポジションがたまった状態になります。多くの投資家がさらなる損失拡大に耐え切れなくなった瞬間、相場は急落するのです。

いわゆる「高値ブレイク」「安値ブレイク」という急激な為替変動の多くは、このような損切り行動によって生まれるものです。為替レートの裏で、相場を実際に動かしている投資家の心理を読むことが重要なのです。

チャート分析は単純なほうが当たる

チャートの売買シグナルが当たるのは多くの投資家が注目しているからです。過去の高値や安値など注目度の高い価格帯を「チャートポイント」と呼びます。チャート分析は過去の高値・安値とトレンドラインに注目するだけで十分です。

個人投資家の中には、「難しいテクニカル指標ほどよく当たる」と勘違いされている方も多いようです。

そもそも、テクニカル指標が示す売買シグナルがなぜ当たるのかを考えてください。そのシグナルに投資家の多くが注目して、買いなら買い、売りなら売りといっせいに行動を起こすからです。どんなに優れた分析法を用いても、誰も注目していなければまったく意味がありません。

そう考えると、テクニカル指標の的中率は、ひとえに「どれぐらい多くの投資家がその売買シグナルに注目しているかどうか?」で決まります

為替は「レンジ相場」と「ブレイク」

単純に言ってしまうと、相場は過去の高値と安値の間を行ったり来たりするレンジ相場と、そのレンジをどちらか一方にブレイクする相場を繰り返します

レンジ内の上下動で勝負したいなら、レンジの外にストップ・ロス・オーダー( 損切りの逆指値注文) を置いて、高値圏に到達したら売り、安値圏まで下がったら買いという逆張りの投資を行います。

高値ブレイクや安値ブレイクの勢いに乗る取引をしたいなら、高値・安値の少し外側にストップ・ロス・オーダーを置いて、レンジを突き抜けるような強い上昇・下降の勢いに乗る戦略を採用することになります。

「チャート分析は難しければ難しいほど、なんだか当たりそう」という意識は捨ててください。過去の高値や安値といったチャートポイント

を意識し、高値同士・安値同士を結んだトレンドラインを引くだけで十分。FXの武器はシンプルなほうが良いのです。

松田さんの失敗談

スワップポイントはおすすめしない

いわゆる「円キャリー・トレード」は、過去の歴史を振り返ると、何度も失敗を繰り返している手法です。

円の低金利を利用して、高金利通貨との金利差で利益を上げようとする取引手法(トレード・テクニック)を「円キャリー・トレード」と言います。

つまり、低金利の円を売って、高金利通貨を買い、その金利差調整額(スワップポイント)で利益を上げようとする手法です。

通常は、政策金利の高いことが「買い」の材料となり、高金利通貨が買われることが多いのですが、政策金利が高いということは、その国のインフレ率が高いということでもあります。インフレ率が高いということは、潜在的に、いずれその通貨価値は下落する可能性が高い、ということなのです。

キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。

しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性は消えません。むしろ、需給により、ゆがめられて、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

そして、大きく相場変動が起こると、結局、その金利差調整額(スワップポイント)以上の損失が出てしまいます。

FX取引の場合、為替相場の変動で利益を狙う、と考えましょう

リスクをコントロールするポイント

大切なのはポジション調整

積み上げてきた利益を守るためには、いざ、ことが起こったときに、それを回避する手段・手法を知っておく必要があ

ります。

それが「ポジション調整」であり、強制される前に自らするもの、と考えます

外国為替レート、特に、ドル/円レートの値動きには、上昇するときは上下動を繰り返しながら、ゆっくりと上昇し、下落するときは、ストンと一気に落ちるというクセがあります。

このストンと一気に落ちる際に、その値幅が大きい場合を「クラッシュ」、値幅が小さい場合を「ミニ・クラッシュ」と呼びます。

「ミニ・クラッシュ」は、「ガス抜き」のようなもので、マーケット(外国為替市場)にたまった「歪み」を修正・調整します。

持ち値の悪いポジションを、マーケットの自律的な値動きで、強制的に損切りさせることになります。このマーケットの自律的な値動きは、持ち値のよいポジションを、利食いで消滅させる効果もあります。ですから、ミニ・クラッシュが、「ポジション調整」を起こしている、といえます。

ポジションを調整することは、リスクをコントロールしている状態であり、マーケットの値動きに対応している状態です。

塩漬けはしない!

ポジション調整を行わない(行えない)状態は、「フリーズ状態」と同じで、非常に危険です。ポジション調整を行わなかったり、行えなかったりすることで残されるポジションが、いわゆる「塩漬けポジション」です。

「塩漬けポジション」は、本格的な「クラッシュ」が起こると、致命的な損失を生みます。「塩漬けポジション」を持たないことが、損失(リスク)をコントロールする秘訣と考えます。

初心者がFXを始めるにあたり大事な心構え

読みが外れた時のために資金管理

「すべてを勝とう」と思わないこと。相場なのだから、全ての取引で利益を出すことは、もともと不可能

負けることを前提に取引する、とまでは言わないが、自分の思惑通りに相場が動かないことは往々にしてあること。

うまくいかない場合は、あえて、いったん「損切り」を行い、損を出して、相場から離れることも大事。

そういった行動を取れるように、1回の取引に自己資金の全てを注ぎ込むのではなく、自己資金を10分割して、10回戦えるように資金管理をする

相場に臨む際に一番大事なことは、資金管理だと考えます。



トレーダーのプロフィール

早稲田大学法学部卒業。

三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。

現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として、法人・個人向けコンサルティング業務を行っている。

著書『外貨崩落』(技術評論社)などで米ドル/円相場、クロス円相場の下落を見事的中。『1勝9敗でも勝てる松田式FX!』(ダイヤモンド社)がある他、『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』(技術評論社)、『FXの教科書』(扶桑社)、『投資で浮かぶ人、沈む人』(PHP研究所)、『FX「シグナル」を先取りして勝つ!』(技術評論社)など多数の著書がある。

FXをはじめたきっかけ

三菱信託銀行にて、FXディーラーを職務として行ったことがきっかけ。東京本店をスタートに、ニューヨーク支店でも外国為替取引・金利取引に従事した。

FXに感じる魅力

 

株式と異なり、「買い」からでも、「売り」からでも、エントリーできること。もちろん株式取引でも、「売り」から入ることが可能だが、株式取引の場合は、基本は「買い」から入ること。FX取引は、その時々の相場によっては、「売り」から入ることが必要になることがある。また、外国為替相場のスピード感は、他の市場では、なかなか見られない、と感じます。

この記事のまとめ

    【はじめての取引】
  • 過去の高値や安値といったシンプルな指標に注目し、投資家の心を読もう!
    【初心者が気を付けるべきポイント】
  • スワップポイント狙いの取引ではなく、為替の変動で利益を狙おう
  • 塩漬けはダメ!常にポジション調整をしてリスクをコントロールをしよう。
  • 資金管理をきっちりと。ダメな時はいったん損切りし、次に備えよう。

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※1:2020年1月末時点。ファイナンス・マグネイト社調べ。DMMFXと外為ジャパンを合算した数値。
※2:ファイナンス・マグネイト社調べ(2012年1月~2018年12月)

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