2019.01.29更新
FX勉強
FXインジケーター入門|いつ使う?ストキャスティクス徹底解説
この記事の
監修者

松田トラスト&インベストメント代表取締役
松田哲
MATSUDA SATOSHI
- ストキャスティクスとは、相場の強弱を教えてくれるオシレーター系のテクニカル指標
- ストキャスティクスの欠点は「ダマシ」が多いこと
- ストキャスティクスが最も効果を発揮するのはボックス相場のとき
- 「%K」・「%D」・「Slow%D」の3つの要素から構成されている
【ストキャスティクスとは?】相場を把握するのに役立つ指標
ストキャスティクス(Stochastics)とは、推測統計学という意味の指標です。
相場の「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を数値化して、相場の強弱を教えてくれるオシレーター系のテクニカル指標です。
この指標は、過去における高値・安値に対して、当日の終値がどのような位置にあるかを数値化したものです。「%K」「%D」「Slow%D」という3つの指数から構成されています。
それぞれの呼び方は、「%K(パーセントK)」「%D(パーセントD)」「Slow%D(スローパーセントD)」です。「Slow%D」は、「%SD」や「SD」と表記されることもあります。
ストキャスティクスを構成する要素3つ


1.基本となる指数【%K】
「%K」は、一定の期間に動いた値幅(最高値-最安値)を100として、現在の価格が何%に位置しているのかを表しています。
つまり、以下の計算式で求める数値です。
「%K」の数値の範囲は、ゼロから100です。最新の価格が、「%K」を計算する期間の最高値に近ければ、数値は大きくなります。
期間内の最高値と最安値の中央にあれば、「%K」は50になります。この「%K」は、価格が上昇基調にあれば、100を上限として上昇基調を示します。
逆に、価格が下落基調の時は、ゼロを下限として下落基調を示します。
2.異なる期間を設定する【%D】
「%D」では、一般に、「%K」で用いた一定の期間とは異なる期間を設定します。「%D」はその一定の期間で、下記の計算式で求めます。
これは、その期間分の「%K」の平均値と言い換えることができます。そのため、「%D」の数値の範囲は「%K」と同様にゼロから100です。
ただし、その動き方は「%K」よりも遅れます。
3.ある期間の平均を取った数値【%SD】
「%SD」は、ある期間の%Dの平均を取った数値です。ですから、対象にする期間を3日とすると、
で計算した数値です。
「%D」の平均を取った「%SD」は、「%D」よりもさらに遅れた動きになります。
相対的に判断しやすい!ストキャスティクスの特徴
ストキャスティクスは、相対的に判断しやすいテクニカル指標であると言えます。
ストキャスティクスとよく似ているRSIは、「買いゾーン」「売りゾーン」で判断するのに対して、ストキャスティクスは2本の線を用いて以下のように明確に売買シグナルが出るからです。

また、ストキャスティクスは、価格がある一定の値幅で動いている場合に明確なシグナルを発する傾向にあり、相場が横ばい・緩やかな上昇・下落という状況で効果を発揮すると言えます。
ストキャスティクスは、現状の価格が一定期間の高値および安値と比較して、どの位置にあるかで算出されます。
現在のレートを過去の一定期間の値動きと比較し、100%に近ければ近いほど現在のレートが買われ過ぎとなり、0%に近ければ近いほどレートの売られ過ぎと判断されます。
FX初心者が気を付けるべき注意点2つ
-
1. 過去の傾向を把握する
2. 明確なトレンドがあるときは総合的に判断する
1.過去の傾向を把握する
買われ過ぎ水準・売られ過ぎ水準については、RSIと同様に通貨ごとの癖があるためその通貨の過去の傾向を把握しておくことが必要です。
ストキャスティクスは、相場の動きに素早く反応するため、短期売買向きと言えますが、「ダマシ」も多いのが欠点です。
一般に、%Kが80%以上の時は買われ過ぎ水準、%Kが20%以下の時は売られ過ぎ水準となります。
2.明確なトレンドがあるときは総合的に判断する
明確なトレンドのある時は、トレンド系の指標である移動平均線やMACDなどを併用して総合的に判断する必要があります。
相場に明確なトレンドが出ているときは、ストキャスティクスの指標が天井または底に張り付いたままとなってしまう性質があるため、逆張り手法が全く機能しないことがあるからです。
しかし、この性質は全てのオシレーター系の指標に言えることでもあります。
ストキャスティクスは、逆張りのテクニカル分析という性質を持っているため、この指標を使う場合は利益確定を素早く行う必要があると考えます。
これは、ストキャスティクスの手仕舞いのサインを待ち過ぎると利益を確定するのが遅れてしまう、といったリスクがあることを意味しています。
ストキャスティクスでの取引手法!実践的な見方・読み方解説
組み合わせて使う!ストキャスティクスのパターン3つ
ストキャスティクスは、「%K」「%D」「%SD」の3つの指数を、単独または組み合わせて使います。一般に、よく使われる方法は以下の3つです。
1.「%K」を単独で使う方法
最もシンプルな方法では、「%K」だけを使います。
オシレーター系の指標のRSIと同じ考え方で、100に近い高水準エリアならば下落する可能性が高いという警戒シグナルであり、ゼロに近い低水準エリアならば上昇する可能性が高いという警戒シグナルと考えます。
つまり、「高水準エリア=売りシグナル」「低水準エリア=買いシグナル」と考えて、逆張り手法の売買シグナルとして使用します。
なお、高水準・低水準の判断ですが、RSIと同様に「80%・20%」「75%・25%」「70%・30%」の組み合わせが多用されます。
2.トレンドの判断に役立つ「ファーストストキャスティクス」
ファーストストキャスティクス (fast stochastics)とは、「%K」と「%D」を組み合わせた手法です。
ファーストストキャスティクスは、トレンドを判断したり、売買のシグナルとして使用します。
「%K」と「%D」との位置関係には「デッド・クロス」と「ゴールデン・クロス」があります
デッド・クロス
すでに述べた通りに、「%D」は、「%K」よりも遅れて動きます。価格が上昇基調であれば、先に「%K」が上昇し、後から「%D」が上昇します。
その上昇が鈍化して、高値を更新しなくなれば、「%K」が先にピークを付けます。高値水準での「デッド・クロス」は高値水準での「売りシグナル」です。
ゴールデン・クロス
価格が下落基調であれば、先に「%K」が下落し、後から「%D」が下落します。その下落が鈍化して、安値を更新しなくなれば、「%K」が先にボトムを付けます。
安値水準での「ゴールデン・クロス」が「買いシグナル」です。このファーストストキャスティクスは、感応度が高すぎるため、実際にはあまり使用されません。
一般的に使用されるのは、次に挙げるスローストキャスティクスです。
3.一般的に使用されることが多い「スローストキャスティクス」
スローストキャスティクスは、「%D」と「%SD」を組み合わせた手法です。使い方はファーストストキャスティクスと同様です。
安値水準で「%D」が「%SD」を上に抜ける場合が「ゴールデン・クロス」で、「買いシグナル」です。
スローストキャスティクスは、ファースト・ストキャスティクスに比べて反応が遅くなります。
つまり、スローストキャスティクスの売買のシグナルは、ファースト・ストキャスティクスに比べると、遅くなります。
ストキャスティクスはどういうときに役立つ指標?
ストキャスティクスが最も効果を発揮するのはボックス相場です。
チャートを見ると、ストキャスティクスはボックス相場で相場反転時に有効なシグナルを発し、機能していることがわかります。
逆に、上昇や下降トレンドが明確な場合には、トレンドをうまく読み取ることができずに、結果として適切な売買サインを示し難いという欠点があります。
ストキャスティクスは、相場の細かな上下動に反応して短期売買を行うといったトレードスタイルに向いている、と言えます。
理解できたかどうか心配…練習問題にチャレンジ!
【練習問題①】
以下のチャートは、ドル/円(日足)のストキャスティクスです。
このチャートを見て、どのように考え、判断して、どこで売買の注文を入れるのが適切かを考えてください。

【練習問題①】解答

つまり、黄色の円で示されている場面で、買いをおこない、緑の円で示されている場面で売りを行えば良いのです。
【練習問題②】
以下のチャートは、ユーロ/ドル(日足)のストキャスティクスです。
このチャートを見て、どのように考え、判断して、どこで売買の注文を入れるのが適切かを考えてください。

【練習問題②】解答

この相場も、おおむね、シグナル通りに動いており、これらのシグナルに従って売買を行えば、利益につながっています。
【練習問題③】
以下のチャートは、ユーロ/円(日足)のストキャスティクスです。
このチャートを見て、どのように考え、判断して、どこで売買の注文を入れるのが適切かを考えてください。

【練習問題③】解答

「買いシグナル」を「黄色の円」で、「売りシグナル」を「水色の円」で表示しました。このユーロ/円の場合もおおむね、シグナル通りに動いています。
このチャートで、1回目に発せられた「売りシグナル」の後では、ストキャスティクスが天井圏に居続けて2回目の「売りシグナル」を発しています。
さらに、このチャートで、4回目に発せられた「売りシグナル」に従うと、その後の相場は上昇しているので、大きく損失になります。
4回目に発せられた「売りシグナル」の後は、ストキャスティクスが天井に張り付いたままになっています。
ただし、4回目に発せられた「売りシグナル」の後で、5回目の「売りシグナル」を発しています。
この5回目の「売りシグナル」に従えば利益になるので、挽回のチャンスを与えてくれている、と考えます。
この記事の監修者

松田トラスト&インベストメント代表取締役
松田哲
MATSUDA SATOSHI
略歴
早稲田大学法学部卒業。 三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。 現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として、法人・個人向けコンサルティング業務を行っている。 著書『外貨崩落』(技術評論社)などで米ドル/円相場、クロス円相場の下落を見事的中。 『1勝9敗でも勝てる松田式FX!』(ダイヤモンド社)、『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』(技術評論社)、『FXの教科書』(扶桑社)、『投資で浮かぶ人、沈む人』(PHP研究所)、『FX「シグナル」を先取りして勝つ!』(技術評論社)など、多数の著書がある。 有料のメールマガジンやシステムトレードも配信している。 執筆者のサイト→http://matsudasatoshi.com/
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